日本放送協会 放送文化賞 今年は里見浩太朗氏など6名に贈呈

 NHKは「第77回(2025年度)日本放送協会放送文化賞」を、相澤清晴氏(東京大学名誉教授)、桂文珍氏 (落語家)、里見浩太朗氏(俳優、歌手)、玉木幸則氏((一社)兵庫県相談支援ネットワーク代表理事 ほか)、野沢雅子氏(声優)、松任谷由実氏(シンガーソングライター)の6名に贈呈することを決定した。
 また、ことしは受賞者の方を代表して、里見浩太朗氏をゲストにメディア説明会を2月16日に行った。
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 里見氏は俳優について、「面白い商売ですよ。自分ではないところにいつも行ける。自分は家にいる時はボケっとして歌を歌ったり、ピアノを弾いたり、絵を描いたりしていますけども。本当の里見浩太朗というのはそこにはいない。
 台本をもらって、いろいろな言葉を覚えて、いろいろな人とぶつかり合って、火花を散らしてものを言う。笑い合う。喧嘩をする。慰め合う。愛し合う。こんなことができる人間って他にいますか?俳優だからそれができる。
 こんな、こんな素晴らしい人生、生き方は俳優じゃなきゃできない。それを何十年もやらせていただいている。こんな人間として幸せな生き物はないんじゃないかな。本当にそう思います」。と語った。
 また、去年話題を呼んだ大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」にも出演しているが、「僕の演じた須原屋市兵衛(すわらや いちべえ)は、江戸で2番目にできた本屋さんです。その当時の本屋ってどんなものかわかりませんけども、そのような時代に本屋をやった。それはどういう神経を持ってた男なんだろうか、再三プロデューサーにも質問をしましたけども、明確な返事はいただけませんでした(笑)。
 でも、プロデューサーも多分いろいろ悩みあって本を作っていらっしゃったんだなということはよくわかりました。それほど難しい。演ずる方は難しい。見ている方も難しい。そういうところが。べらぼうというドラマの良さだったんじゃないかな。今、回顧して思うと。そんな結論です」。
 また里見氏は、歌手としても長く活躍されているが、歌については、「歌はね、好きなんです。本当に好きなんです。大体僕は俳優になろうと思ったことは一回もないんです。歌が好きで。静岡県の富士宮市、富士山の麓から出てきました。
 東京は西も東もわかりません。新聞を見ると何々歌謡学園、何々音楽学校、いろいろあります。住所を控えて、歌の先生を訪ねて勉強していました」。
 俳優になるきっかけは、「叔父さんの知り合いのある大きな会社の重役さんのとちに、遊びに行った時に、そこに大学生のお嬢さんと高校生のお嬢さんと中学生のお嬢さんがいました。
 その大学生のお嬢さんがコロンビアの作曲家の先生を紹介してくれまして。その先生の家が用賀にあり、週に一回、当時住んでいた月島から用賀まで通っていました。帰りに三軒茶屋で降りて、その叔父さんの知り合いの重役さんの家が下北沢にあって、その家へ行って、土曜日の夜、夕飯をごちそうになって帰るのは楽しみでした。
 そんなことを何回か続いているうちに、叔父さんのうちに、東映第3期ニューフェイス受験通知が届くんです。誰がこんなもの出したんだと犯人を探しましたら、その私の叔父さんが世話になった重役さんの高校二年生の女の子が『あんた芸能人になりたいんでしょ?俳優も歌い手さんも同じだよ。行ってらっしゃいよ』そう言われたんです。それがきっかけです。
 だから、よくどうして里見浩太朗になったのか?と聞かれるのですが、私の人生は全部人が動かしてくれた。誰かが手を引いてくれた。誰かがここに置いてくれた。誰かが駒のように将棋の駒に置いてくれた。
 そんな人生で里見浩太朗が生まれまして、現在にあります」を述べた。
 質疑応答で、時代劇がほとんどなくなった現状について、里見氏は、「一口に言えばもう予算ですね。
 現代劇で人がいっぱい歩いているシーンの場合、俳優さんは自分の洋服を家から着てそのまま出ています。時代劇そうはいかないです。全部30人いたら30人がカツラをかぶって、30人が衣装を着て、30人がわらじを履いて、30人が刀を持って小道具を持っている。
 それだけで一人数万円かかるんです。そのため予算が時代劇と現代劇では大きな差がある。だから時代劇ができないってのはよくわかりますね。
 昔は企業も儲かっていて、広告費をポンと出していました。それも数千万円をです。それができなくなったのが現在です」。
 今年90歳になるということで、その健康の秘訣を聞かれると、「仲良かった同期、後輩はほとんどいないんです。それはとっても悔しい。名前挙げると、僕の一番親しかったのは山城新伍。ニューフェイスの一期後輩です。その他、松方弘樹、千葉真一、梅宮辰夫、西郷輝彦。みんなついこの間までテレビに映っていた人たちです。全員あの世に行っちゃったんです。なんでお前たち行っちゃったんだよと、本当に言いたいです。
 だから、本当に今頑張っている若い俳優さんたちは、心と健康と体の健康、両方を頑張って自分を作っていって欲しい。健康ということが、自分自身にとっても、その人を囲む周りの人たちにとってもいかに大事かということを考えて自分を育てていってほしいと思います」と述べた。