TED~MBCに設備監視ソリューションを提供 メンテナンス性の向上と作業負荷の軽減

 東京エレクトロン デバイス長崎(TED長崎、長崎県諫早市、松嶋富浩社長)が提供する中継局向け設備監視ソリューション「RMSシリーズ」が、南日本放送(MBC、鹿児島県鹿児島市、中野寿康社長)のラジオ中継局に採用され、現在、現地での検証が進められていると発表した。同システムは、2025年度中に5局へ順次導入される予定。   
 IPネットワークを活用し、オープンソース統合監視ソフトウェア「Zabbix」と連携することで、コストを抑制しながら汎用性と拡張性に優れた監視体制の構築を目指している。さらに、アプライアンス型のRMSシリーズを採用することで、メンテナンス性の向上と、社内での技術・保守スキルの蓄積も図る。
 南日本放送(MBC)は、鹿児島県を放送対象地域とするテレビ・ラジオ兼営局で、地域に密着した放送活動を行い、数々の長寿番組を有している。これまで、MBCは旧来の中継局監視・制御専用システム(リモコン)を利用していたが、2026年3月に予定されている通信サービス「FOMA」の提供終了により、ラジオ中継局の新たな遠隔監視・制御システムの構築が急務となっていました。さらに、昨今のビジネス環境の変化から導入コストの抑制が求められると同時に、技術スタッフの高齢化に伴う技術継承、そして保守スキルの社内蓄積も課題だった。
 こうした課題に対し、MBCは汎用性と拡張性に優れた監視・制御システムの導入を決定。社内ネットワークの監視で利用していたオープンソース統合監視ソフトウェア「Zabbix」を組み合わせることで、コスト削減に加え、将来的な運用負荷の抑制、そして自社内における設備監視・制御に関するノウハウやスキルの蓄積を目指した。そこで、SNMPによる監視・制御に対応し、Zabbixとの連携実績も豊富なTED長崎のネットワーク対応多点接点監視・制御ユニット「RMS―DIO4816―PI」、およびアナログ入力モジュール「RMS―AI08」を採用した。提供システムの概要は以下の通り。
 ▽ネットワーク対応多点接点監視・制御ユニット「RMS―DIO4816―PI」およびアナログ入力モジュール「RMS―AI08」:交流/直流の選択可能な電源ユニットの冗長化に対応し、最大で監視48点、制御16点を必要とする。ラジオ中継局ごとの接点信号点数、およびアナログ信号点数に合わせ必要十分な機器構成で対応。
 ▽Zabbix 7・0 LTSとの連携:RMSシリーズで収集した接点情報やアナログ信号をSNMPでZabbix 7・0 LTSに連携し、統合的な監視を実現。放送機のアラーム・電波の受信状態・停電情報・発電機の運転状況などを監視対象とし、異常発生時にはアラートで通知。制御については、別途開発されたWeb画面からRMSシリーズにコマンドを送信して実施。
 ▽Zabbixテンプレートの提供:RMSシリーズとZabbixとの連携に特化したテンプレートを提供。テンプレートには基本的なトリガーが含まれており、マップ機能でのアイコン配置などにより、監視画面の開発を効率化。テンプレートをガイドにすることで、機能追加も容易。
 提供システムの導入効果は、汎用的なシステムでありながら従来の監視項目を網羅し、かつ、直感的なユーザーインターフェイスを実現し、システム構築・運用を通じて、監視・制御に関するノウハウとスキルを社内に蓄積。また、アプライアンス型のシステムであるため保守性に優れ、万が一の故障時もユニット交換で迅速に対応可能で、メンテナンス時の作業負荷が大幅に軽減。さらに、直流/交流電源の冗長対応や停電時の自動切り替え機能により、現地でのメンテナンス作業を大幅に軽減する。
 今後、南日本放送では、現在の中継局における実証を経て、2025年度中にRMSシリーズを5局に順次導入していく計画。