伊藤忠ケーブルシステム 高田新社長に聞く「とにかくやってみよう、駄目だったらまたやり直す」

 ―まずはプロフィールを
 高田 私は伊藤忠商事で、IT関連の事業に長く携わってきました。例えば、アメリカのIT機器を輸入し、日本で伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)のチャネルで販売を行うビジネスに携わったり、アメリカで対日輸出の窓口業務を行う会社に駐在したこともありました。さらに、CTCがインドネシアのIT企業を買収したことに伴い、買収後の統合作業を行うために、インドネシアに2018年から2023年にかけて駐在していました。その間に新型コロナがあり、ワクチン接種のために何度か日本に一時退避を余儀なくされました。
 コロナ禍では、お客様とのコミュニケーションが制約され、検収書をもらいたくても、お客様も在宅勤務をしているので、検収書がもらえず、売上がなかなか計上できないこともありました。納入した機器のトレーニングを実施するにも、コロナ禍で人が集まれないため、スケジュールが組めないなど、大変な時期でした。
 ―伊藤忠ケーブルシステム(ICS)との関係は
 高田 仕事の上では、あまり接点はありませんでした。過去に伊藤忠商事で伊藤忠ケーブルシステムの主管部署にいた際、ICSの役員と打ち合わせしたことがある程度です。直接何かのビジネスに関わることはありませんでした。
 ―ICSの社長を打診された時の率直な感想は
 高田 まさか自分がなると思っていませんでした。正直驚きました。
 ―社長になる前、実際中に入ってみての印象は
 高田 IT業界が長いので、シスコやオラクルといったベンダー名であれば、すっと耳に入ってくるのですが、この分野のベンダーの名前だと、どんな商品なのだろうと思うところからのスタートでした。
 例えばKVMと言えば、この業界の方はすぐに同じものを思い浮かべるのでしょうが、私の場合は、初めて聞いたときは、組み込み機器に入るバーチャルマシンやミドルウェアを想像してしまいました。
 また、実際の商売も、機器を調達して、システムとして組み立てて納入するというところは同じだと思いますが、業界のお作法的なところが少し違うと感じたこともありました。
 ―伊藤忠ケーブルシステムはどのような会社だと思うか
 高田 業界と一緒に育ってきた会社だと思います。社長に就任して以来、いろいろな取引先へご挨拶に伺いました。Googleマップで調べて計算したところ、総移動距離はおよそ1万2000㌔にものぼりました。全国津々浦々、数多くの会社を訪問する中で、先方の社長さんから、長い間どのように我々と付き合ってきたか、その歴史などをご説明いただきました。 お客様と二人三脚で、ここまで成長してきた会社だと、改めて感じています。
以前より中谷(前社長)から、ICSは全国のケーブル局や放送局に取引実績があるので、そのネットワークや顧客基盤を活かすよう言われていたのですが、実際にその通りだと感じています。(全文は7月23日号6面に掲載)

この記事を書いた記者

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成澤誠
放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。