
国内初のApple Immersive Videoで撮影~渡邊氏「入念なノイズリダクションが必要」
Amplium,Inc(米国カリフォルニア州、佐藤響代表)は、Apple Vision Pro向けイマーシブビデオプラットフォーム「Amplium」にて、世界初のApple Immersive Video商用カメラ「Blackmagic URSA Cine Immersive」で撮影した映像作品としては国内初となる、アイドルグループ「LiVS」のイマーシブパフォーマンス映像「Believe」と「JUST ONCE」の2曲を公開した。これまでライブで味わってきた迫力と臨場感を、超高解像度3Dビデオと空間オーディオで再現し、まるで会場にいるかのような没入感を体験することができる。
ディレクターの渡邊徹氏(株式会社コンセント)は、「今回の撮影で気を遣ったのは距離感です。LiVSのメンバーにも撮影時にカメラをファンだと思ってパフォーマンスをしてもらい、振り付けも今回の撮影に合わせて微調整をしながらベストな距離感を探りました。目の前にいるかのようなパフォーマンスの感覚を体験してください」とコメントしてる。
Blackmagic Designの「Blackmagic URSA Cine Immersive」は、180度のステレオスコピック三次元映像を撮影するために設計されたハイエンドカメラ。Apple Vision Pro向けの「Apple Immersive Video」を高品位に収録できるよう最適化されており、同フォーマットに対応した世界初の商用カメラとして発表。
光学系は、ラージフォーマットのイメージセンサーのために特別設計された固定式デュアルカスタムレンズシステムを採用。イメージセンサーは片目あたり8160 × 7200ピクセル(約5987万画素)、16ストップのダイナミックレンジをサポートし、片目12Kセンサーを8K読み出しする設計。これにより、片目8K級(両眼合計で16K級)での緻密な立体映像記録が可能になる。
電波タイムズの取材に対し渡邊徹氏は、「(URSA Cine Immersiveを使用した感想)今までのVRカメラとは明らかに解像感が違いますね。あとはBRAW Immersiveでのカラーの戻し具合であったり、大型イメージセンサーによる暗部へのアプローチだったりが明らかに今までのカメラとは違い、表現の幅が広がったと感じます。ただ、ポスプロ段階で、かなり入念にノイズはリダクションした方が良いとは思っています。
ただ、16K90FPSのレンダリングは一昔前の気分になるくらいには重い作業だなと思っております。ほとんどの時間をノイズリダクションにかけていると言っても過言ではないかなと思います。
現在、我々も、M3Ultraのフル積みのMacstudioを使っているのですが。ノイズリダクションをしっかりかけたものを出力するのに、3分の映像で10時間近くかかっております。かつ、Davinciでのプレビュー環境もスムーズとは言えないので。音に合わせた編集やFusionで凝ったことをしようとすると。なかなかに重たい作業になるのも事実としてあります。
なので、VFX処理をバリバリかけたようなものはしばらくは出てこない気がします。
ImmersiveVideoの特性を考えても、リアル空間を臨場感たっぷりに伝えていくという形になるので。後処理というよりは、空間上の演出をしっかりつけて撮影する方向性の方がコストも含めてハマってくるのかなと思っております。
あとは、音が空間音声をトライしていきたいと思っています。LiVSのコンテンツは、ステレオをそのまま置いただけなので。空間的な広がりが少し弱かったなと反省しておりまして。できれば、ボーカルをパラでもらっておいて、それを空間マッピングして、制作できればよかったなーと思っております。
これは次回への課題として認識している次第です。
また、これまでブラックマジックの製品を使用した経験については、「EOS R5cでのVR180の制作あたりから、それまでは、プレミアを使っていたのですが。Davinciに編集ソフトを移行しました。それ以外のブラックマジック製品は使ったことはありませんでした。シネマカメラも、URSA Cine Immersiveが私としては初めての機体になります。
ただ、ImmersiveVideoの撮影では、置き位置と距離感を間違わなければ。カメラ自体の設定もRAWの範疇で後からどうとでもなるので。難しいことが他のカメラ(ピントやレンズの距離やらを考える必要がないので)よりも簡単に覚えられると思ってはいます。
差が出るとしたら、やはり空間的なアプローチ、演出になるのかなと思います」と答えた。
渡邊徹氏
Blackmagic URSA Cine Immersive
この記事を書いた記者
- 放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。
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