東陽テクニカ、大容量パケットキャプチャ/解析システムに新機能追加―

東陽テクニカ(東京都中央区、高野 俊也社)は、自社で開発した大容量パケットキャプチャ/解析システム「SYNESIS(シネシス)」に新たな解析機能を追加し、2025年12月に発売する。
 この新機能によりネットワーク上の映像・音声品質を可視化して客観的に評価できるようになり、放送局・制作現場・通信事業者における品質管理やトラブル対応の効率化を可能にする。
 従来、テレビ放送はSDI規格のケーブルを利用して映像を伝送してきたが、近年は、IP(インターネットプロトコル)を用いた伝送に置き換わってきている。IP放送環境では、ネットワーク特有の遅延やパケットロス(パケットの損失)が映像・音声品質に直結するため、これらを客観的に数値で解析するニーズが高まっている。
 東陽テクニカ製「SYNESIS」は、ネットワーク上の400Gbpsのデータを取りこぼしなくキャプチャできる高性能パケットキャプチャ装置。このたび、音声や動画の伝送に用いられるプロトコル「RTP」におけるジッタ(パケットの到着時間のばらつき)やパケットロスを、送信元と宛先のペア(ストリーム)単位で測定する機能を実装した。
 この機能により、映像・音声品質をリアルタイムで定量的に評価でき、障害の早期検知と原因特定が迅速に行える。また、長期間キャプチャしたデータを活用して、障害の再現検証を行うことで、障害対応の時間短縮やコスト削減に寄与する。
 今後はPTP(時刻同期の精度を実現する技術)やマルチキャストなどの監視機能も追加予定で、放送ネットワーク全体の品質管理を包括的にサポートする。

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成澤誠
放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。