ATENジャパン ソリューションセミナー

 ATENジャパンはこのほど、ATENジャパン神田ショールームにおいて「ATENジャパン ソリューションセミナー2025 in TOKYO」を開催した。
 製造業での導入事例をはじめ、ProAVソリューションや最新ビジネストレンドなど、幅広いテーマを1時間ごとに解説するもの。今回は『導入事例と新製品でわかる!ATENのビジネストレンドと最新ソリューション紹介』の模様をレポートする。


金澤篤司氏氏

 最初に営業統括部 東日本営業部の金澤篤司氏が、ATENの会社紹介を行った。ATEN Internationalは創立46年を迎えるグローバル企業で、現在、海外拠点を含めて世界16拠点に展開。グローバル全体での社員数は約1700名となっている。
 日本法人のATENジャパンは、12月現在で73名が在籍しており、日本進出から21年を迎えている。北は札幌から南まで複数拠点を構えており、ショールームを兼ねた営業所として運営している。
 組織体制としては、単に製品を販売するだけでなく、製品の組み合わせによる課題解決提案を行う「ソリューション営業部」を設けている。また、技術本部では修理対応や技術的な問い合わせ対応を行っており、物流管理を含む管理部門も含め、すべて日本国内で完結する体制を整えている。
 そのため、導入後のサポートや長期的な運用面においても、海外メーカーと比較して柔軟かつ迅速に対応できる点が大きなメリットという。
 KVMスイッチおよび関連ケーブル分野において、グローバルシェア約60%を占めている。
 取り扱い製品は大きく分けて3つのカテゴリーに分けられる。1つ目は、PC・サーバー周辺機器を中心としたIT製品(ケーブル、スイッチ、ステーション等)。2つ目は、ビデオ分配器やスイッチャーなどの映像製品。3つ目は、近年需要が拡大しているデータセンター向けを中心とした電源製品で、PDU、UPS、リブーターなどを取り扱っている。


鈴木圭吾氏

 KVMソリューションについては、営業統括部 東日本営業部の鈴木圭吾氏が説明した。
 近年、KVM製品の中でも、「ドロワー」への問い合わせが非常に増えている。その理由は、大手PCメーカーが純正ドロワーの販売を次々に終了していることにある。ATENは豊富なラインナップにより、純正ドロワーの置き換え可能という。
 現在、同社が展開しているIP KVM製品は、大きく分けて3つのタイプがある。
 1つ目が「CNシリーズ」で、PC1台に対してKVM本体を1台接続して使用する1ポートタイプのモデル。小規模構成や、特定のPCを個別にリモート化したい場合に適している。
 2つ目が、従来のKVMスイッチと同様に、複数のPCやサーバーを切り替えながら操作できるスイッチタイプの「KNシリーズ」。KNシリーズは、最大64ポートまでのモデルを用意しており、リモートから同時に操作可能なユーザー数は最大8名となっている。
 3つ目が「KGシリーズ」。こちらは、複数ユーザーによる同時リモート操作を前提としたモデル。ポート数は最大32ポートだが、リモートユーザー数は最大32名まで対応可能となっており、中央監視室など、複数オペレーターでの運用に適した製品。
 新製品では従来のポートタイプから大幅に小型化したIP KVM「CN800」を紹介した。従来の1ポートタイプIP KVMである「CNFシリーズ」から、筐体サイズを大幅に小型化した。リモート操作機能やバーチャルメディア機能など、これまでのIP KVMとしての基本機能はそのままに、重量はわずか約170gと、非常に軽量な製品となっている。


「CN800」

 CN800の基本的な使用イメージとしては、対象となるPCにCN800を取り付け、ネットワーク経由でリモートアクセスする形で、従来のIP KVMと使い方自体は変わらない。ただし、この小型筐体という点を活かして、例えば作業員はCN800と操作用PCを持って現場に赴き、普段はKVMを常設していない端末に対して、緊急時や保守対応時のみ接続して使用するといった運用が可能になる。
 また、操作用PCをオンライン会議ツールに接続し、他の保守担当者と画面を共有しながら対応するといった使い方も可能。少人数・機動力重視の保守運用に非常に適した製品となっている。
 続いて複数サーバーの制御・監視を可能としたKVM over IPの新製品「KGシリーズ」も紹介した。KGシリーズは、最大32台のサーバーをリモートから監視・操作 できるKVMスイッチ。
ラインアップとしては、16ポートモデルと32ポートモデルの2機種を展開しており、それぞれリモートユーザー数の上限が16名/32名となっている。
 KGシリーズ最大の特長が、マルチビューによるリアルタイム常時監視機能。従来のKVMスイッチでも複数台の同時監視は可能だったが、必要なサーバーを単画面で呼び出して操作する、といった運用に非常に適した製品。高いリアルタイム性が求められる用途において、大規模監視・多人数運用に最適なKVMソリューションとした。また、パネルアレイ(画面分割表示)機能があり、分割された画面上で、接続されている複数のPC映像を常時リアルタイムで表示することができる。
 実際の導入事例も紹介。病院内サーバーへのKGシリーズ導入では、電子カルテを格納しているサーバーにKGシリーズを設置することで、サーバールームに行かずとも、病院内の各所からカルテの閲覧・操作が可能になった。
 KGシリーズは、同時操作可能なユーザー数が非常に多いため、複数の利用者が同時にアクセスしても、操作が競合しない点が、採用された大きなポイントの一つとなっているという。
 さらに、IP KVMエクステンダーの「KEシリーズ(KXシリーズ含む)」がある。こちらは、単純な1対1の延長用途だけではなく、途中にネットワークスイッチを挟むことで、N対Nの非常に柔軟なマトリクス構成を実現できるシリーズ。
 KE/KXシリーズとKGシリーズの違いは、KE/KXシリーズは接続台数・操作ユーザー数ともに明確な上限がなく、システム規模に応じて非常に柔軟に構成を組み立てることが可能。一方、KGシリーズは、1台のスイッチあたり最大32ポートを備えており、最大32台のPC/サーバーを接続可能。また、リモートから同時に操作できるユーザー数も 最大32名となっている。
 また、KE/KXシリーズが得意としているのは、シームレスで高速な切り替え操作だ。ユーザー側には受信機を設置し、そこに直接モニターを接続する構成となる。そのため、端末側の画面にPCの映像が直接表示され、用途に応じて瞬時に切り替えながら操作することが可能。


「リブーター」

 さらに新製品のリブーターとインテリジェントPDUについても説明した。
 リブーターは通常の電源タップとは異なり、オンラインで電源のオン・オフが可能で、給電しながらIP端末の状態監視も可能。加えて遠隔から 電源の再起動が可能などの機能を備えた製品。
 例えば、フリーズした機器を再起動するためだけに現地へ行くのは手間である。また、遠隔地にある機器の状態を常時監視したい。あらかじめスケジュールを設定して電源のオン・オフを行いたいなどのニーズに対応する製品だ。
 電源リブーターは、従来4ポートモデルを展開していたが、今回新たに コンパクトな2ポートモデルをラインアップに追加した。筐体サイズは、4ポートモデルと比較して おおよそ3分の2程度に小型化されているが、機能面については従来の4ポートモデルと変わらない。
 設置スペースに制約がある場所や、「制御したい機器は2台で十分」といった用途に、非常に使いやすいモデルとなっている。
 インテリジェントPDU「PD8308B」は、取り回しの良い1Uサイズの筐体となっており、サーバーラックの1Uスペースにそのまま搭載可能なモデル。
 製品フロント側にはLCDディスプレイ を搭載しており、異常発生時のアラート表示や電力やステータスの確認を、現地で直感的に把握することができる。また、同モデルは8ポートタイプとなっており、各ポートごとに個別で電源のオン・オフ制御が可能。
 この他、同社では三相200V対応のインテリジェントPDUも展開している。「PG98330B2」は30ポートの0Uモデルとなっており、ラック背面に縦置きで設置するイメージの製品。主な特長としては、電力量削減に貢献(年間最大 131・4kWhの削減効果が期待可能)、0℃~60℃ まで対応可能なタフな筐体設計に加えて、環境センサーとの連携 による高度な監視機能を備えている。具体的には、温度・湿度・気流・差圧・漏電といった情報を取得・監視することが可能。
 これらのデータを基にしきい値を設定することで、電力の計測や条件に応じた自動制御といった運用も実現できる。また、同モデルについてもLCDディスプレイを搭載しており、異常時のリアルタイム表示が可能だ。
 様々な分野で多数の導入実績を築いており、累計導入台数は2000台を超えている。ビル管理システム向けで300台以上、中央監視系のシステムで400台以上、映像系・デジタルサイネージの保守管理用途で500台以上、さらに病院における電動ベッド周辺機器のリモート電源管理用途では1000台以上が採用されている。


今西佑太氏

 続いて、映像製品について東日本営業部の今西佑太氏が説明した。
 同社の映像製品ラインアップは、大きく分類すると、①映像分配・切替(映像分配器や映像切替スイッチャーなど)、②映像延長・ビデオウォール関連(映像延長器、ビデオウォール対応マトリックス/スイッチャーなど)、③コントロールシステム、④周辺機器・アクセサリーとなる。
 主な導入シーン・活用例としては、商業施設でのデジタルサイネージ、製造業の現場における生産状況の可視化、異常発生時のアラート表示、各種施設での中央監視用途、企業の会議室、文教系(学校・教育機関など)といった、幅広い分野で利用されている。
 市場が映像システムに対して求めているニーズについて同社では、容易な運用、多様な映像出力が重要だと考えている。これらの要望を踏まえて、新製品をリリースしている。
 Video over IPシリーズ「V8662」は、エンコーダー/デコーダーとして動作可能なVideo over IP ソリューション。送信・受信間はTCP/IP通信で、映像圧縮方式にH.265(HEVC)を採用。低ビットレートかつ高画質伝送を実現している。従来の同社Video over IP 製品との最大の差別化ポイントがこの圧縮方式となるという。
 また、ONVIF規格対応のIPカメラに対応し、デコーダー側で直接IPカメラ映像を受信可能。ネットワークスイッチ経由で、カメラ映像をそのまま表示できる。
 この他、ATEN製品の大きな特長として、KVM機能を標準搭載している点がある。受信機側にキーボードやマウスを接続することで、映像を見るだけでなく、操作まで可能になる。
 ビデオウォールプロセッサー「VW3620」は、従来モデルでは非対応だった映像ソースの上に、別の映像ソースを重ねて表示するオーバーレイ表示に対応する。
 また、最大4ゾーンを独立制御できるマルチゾーン制御を採用。各ゾーンごとに表示パターンや映像レイアウトを個別に設定できる。これが、従来のビデオウォール製品との大きな差別化ポイントという。
 「ATENコントロールシステム」は、同コントローラーを核として、映像スイッチャー、オーディオ機器、照明、スクリーン、その他周辺機器を一括制御することが可能。操作インターフェースは専用タッチパネルの他、iOS /Android デバイスに対応するため、タブレット・スマートフォンからも操作可能。
 コントローラーからの出力は、シリアル、IR、I/O、Ethernet、ONVIF、PJLinkなどの各種信号に対応しており、様々な機器を集約して制御を行うことができる。
 次にソリューションサービスを紹介。ユーザー要件に応じた、製品選定、システム構成検討、現地導入支援、操作用タッチパネルのUI設計など設計から導入までトータルで支援する。
   ◇
 最後に同社サポート体制について説明した。
 製品保証は標準で3年間の製品保証で、センドバック修理に対応する。また、希望に応じて有償にはなるが、保証期間の延長(最長5年)や修理期間中の代替機貸出などのサービスも用意している。
 また、評価機の貸出も実施している。最大2週間で、実際の環境にて組み合わせ評価が可能になる。さらに、購入前の構成相談、製品選定のご支援、実機デモ(お客様先での実施も可能)、勉強会・導入支援、販売店向けトレーニングなども行っており、是非活用して欲しいとしている。

この記事を書いた記者

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成澤誠
放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。