スカパーJSAT、革新的な非地上系ネットワーク事業化
スカパーJSAT(東京都港区、米倉英一代表取締役執行役員社長)は、2021年から、いつでも、どこでもつながる、革新的な非地上系ネットワーク「Universal NTN」の実現を目指した取り組みを行ってきた。このほど、2024年11月から実用化に向けた技術試験を開始し、事業化への活動を本格始動する。
「Universal NTN」は、赤道上空約3万6000㌔㍍の静止軌道(GEO)衛星より地球に近い非静止軌道(non―GEO)衛星、高度20㌔㍍の成層圏を無人で飛行する高高度プラットフォーム(HAPS)など、非地上系の通信インフラを組み合わせた多層的なネットワーク。これにより、海洋や山岳地帯といった地上系ネットワークではカバーが難しいエリアや、自然災害時においても、確実な通信手段として活用することができる。また、AIやIoT技術が融合する未来社会において、多様な通信ニーズを持つユーザーが、時間や場所を問わず、適切な容量・速度で通信できる『圏外のない社会』の到来が期待される。
スカパーJSATは、17機の静止衛星を保有するアジア最大の衛星通信事業者として、世界で積極的に検討されているNTNの構築・実現に貢献するため、2022年4月に、携帯電話など移動体の通信規格・技術仕様を策定するプロジェクトである3GPPへ正式参画した。標準化会合では、非地上系ネットワークと地上系ネットワークのシームレスな連携、NTNのマルチオービット・マルチオペレータに関するユースケースや要求条件について、また、スカパーJSATが商用利用しているKuバンドと呼ばれる周波数帯を5G NTN対応バンドとする取り組みなど、「Universal NTN」のコンセプト実現にも寄与する積極的な提案を行っている。さらに、これらの技術の実用化を目指し、11月から試験を開始する計画だ。
「Universal NTN」は、産官学の多様なパートナーと連携し、オープンイノベーションを通じてビジョンと技術を共有・共創することで初めて実現可能となる。スカパーJSATは、『圏外のない社会』の実現に向け、活動の進捗について随時情報を発信していくとともに、国内外のパートナーとの環境づくりや、実現性の確認に向けた試験に積極的に取り組み、「Universal NTN」の事業を着実に推進する。
写真は サービスイメージ
全文は11月22日付けに掲載
この記事を書いた記者
- 元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。
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