日本ケーブルラボが第16回定時社員総会(1)

 一般社団法人日本ケーブルラボは、6月20日に品川プリンスホテル・メインタワー「サファイア22」(東京都港区)で、第16回定時社員総会を開催した。また、定時社員総会終了後は、第7回功労者表彰贈賞式、特別講演会、ならびに懇親会を開催した。

 第16回定時社員総会では理事長挨拶で田﨑健治氏が次のように挨拶した。

 私たちの足もと、ケーブルテレビ業界はテレビの視聴形態が大きく変わってきて、テレビ離れやOTTへの比重に高まりが見られています。インターネットへの傾注が顕著になっています。日本ケーブルラボは本年、ケーブルIPスティックの開発をAJCCさんと一緒になってようやくリリース開始となりました。日本初のFAST、アプリでテレビ視聴が可能となるケーブルIPスティックがお目見えしています。そのほかラボではIP放送、IP配信の基準の策定、それから日本CATV技術協会と連携している集合住宅のFTTH化への取り組みを行いました。「スターリンク」への対応なども行いました。新年度は10G―EPONの相互接続に関して、生成AIに関する対応など引き続きケーブルテレビでの〝再発明〟を目指してまいります。

 続いて総務省情報流通行政局衛星・地域放送課の岡井隼人課長が次のように来賓挨拶した。
 日本ケーブルラボは、一貫してケーブルテレビに関わる最新技術の開発、動向把握といった業界を底支えする活動に尽力されてきました。この四半世紀の取り組みに深く敬意を表します。昨今は社会環境の変化が著しく人口の減少や競合サービスが台頭したりろケーブルテレビを取り巻く環境が年々厳しくなっています。このような状況で業界発展のカギになるのが新たな技術の開発です。特に新サービスの創出につながるような技術の開発は、今後ケーブルテレビがさらなる発展に欠かせないものです。ケーブルテレビの技術開発で日本で唯一のシンクタンクとしてその役割に期待するところは大いにあると考えています。

 続いて議事に入って
▽報告事項:2024年度(2024年4月1日から2025年3月31日まで)事業報告及びその附属明細書の件
▽決議事項:第1号議案=2024年度(2024年4月1日から2025年3月31日まで)貸借対照表及び正味財産増減計算書ならびにこれらの附属明細書承認の件
▽同:第2号議案=理事14名選任の件▽同:第3号議案=監事2名選任の件で進み満場一致で承認された。

 一般社団法人日本ケーブルラボでは、同法人の活動を通じてケーブルテレビ事業の発展に功績のあった者を表彰し、その功労に報いることを目的にラボ功労者表彰制度を創設している。功労者表彰の被表彰者は、委員会等の活動を通じて功績のあった委員、事業を通じて功績のあった事務局職員、運営を通じて功績のあった理事・監事、その他ラボ活動を通じて功績のあった者であり、特に顕著な功績があった者に対して行っている。

 第7回功労者表彰受賞者の方々は次の通り(氏名、同法人で務めた主な役職、所属・役職〈受賞決定時〉、功績概要、敬称略)。

 ▽中屋一志、事業企画委員会委員・技術委員会委員、イッツ・コミュニケーションズ部長、運用業務自動化の検討活動において、卓越したリーダーシップを発揮し、多くの関係者を巻き込みながら自社の検証・商用環境を最大限に活用し、自動化のPOCを推進した。その結果、運用業務コストの抑制、人的資源の効率化、迅速な障害復旧、情報セキュリティの向上、業務の標準化といった多岐にわたるメリットを実証した。そこで得た実践的な知識、経験は、ワークショップ等を通じて事業者と共有した。これらの活動は、今後の事業者の競争力維持、向上に寄与するものとなる

▽元永康則、技術委員会委員長、JCOM担当部長、2017年8月より2025年3月に至るまで、8年間にわたり技術委員長として委員会活動を牽引してきた。その間に策定した技術仕様、調査報告、業界への提言は枚挙にいとまがない。第3世代STB、ケーブル4K、ハイブリッドキャスト、IoT、低遅延映像、ケーブルDLNA等々、多種多様な課題に取り組み、その成果のラボ活動、業界への貢献は図り知れない▽清水英夫、実用化開発部長、元日本ケーブルラボ部長、2015年に日本ケーブルラボに勤務を開始して以来、技術者としてケーブルテレビ事業における様々な課題に取り組み、成果をあげてきた。技術委員会、WG、アドホックの事務局として活動を取りまとめるとともに、自らも数々の技術仕様、調査報告を完成させた。近年では、PONの相互接続、集合住宅高速化、そして事業者の監視自動化に取り組むなど事業者が抱える課題に真摯に取り組み、広く業界に貢献した。 特別講演会は、 「変化する放送とケーブルテレビの立ち位置」と題してメディア研究者(元NHK放送文化研究所主幹)の村上圭子さんが講演した。

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この記事を書いた記者

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田畑広実
元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。