
日本ケーブルラボが第16回定時社員総会(4)
日本ケーブルラボ 2024年度事業報告(抜粋)
1、事業活動の概要
ケーブルテレビ業界を取り巻く情報通信技術が著しい進展を見せる中で、日本ケーブルラボは、ケーブル事業を技術イノベーションにより発展させるため、スピード感と適時性を念頭に活動を推進している。お客様に各種ケーブルサービスを常に快適にご利用いただくためには、RF、IP両方式を駆使した強靭なインフラ設備構築、盤石な運用体制が求められる。その上で従来からのケーブルサービスに加え新サービスの創出融合が新しい価値創造には重要である。その全体をバランスよく対処するため、サービス技術「サービス品質」「新サービス」、インフラ技術「無線」「有線」を軸とし、「オールIP」を中核に据えた5つの重点分野を定義した。
具体的な活動は、事業企画委員会、技術委員会、個別課題毎の各ワーキンググループ、ならびにラボ事務局による自主的調査研究活動の4つの検討体制で行った。加えて、ラボ策定仕様への準拠を認定する機器認定審査業務、JQE資格検定をはじめSecTecセミナー、講習会・eラーニング開講等の人材育成業務を実施した。
各重点分野の内容は以下の通り。
◇サービス技術
▽「新サービス」:高品質な「有線」「無線」インフラ上で提供されるお客様にとって魅力的なサービスはケーブル事業者として欠かすことはできない。テレビサービス提供においては、お客様接点である宅内装置STBの高機能化やコンテンツ配信側での柔軟なサービス対応が望まれる。加えて、新しい双方向メディアとしてのXR、地域密着のケーブルテレビならではのIoTなど新サービス領域も急速に拡大している。B-Cに加えて、B-B、B-Gあるいは地域DXで多様化する「新サービス」を重点分野の一つと位置付け、個々の技術にとらわれずに広い視野で検討を進めた。
▽「サービス品質」:お客様にサービスを提供するにあたり、その品質を維持・監視し、常に適切に管理することはサービス提供事業者としての必須要件である。サービス品質を維持向上するためにはサービス運用、設備運用、セキュリティ運用、設備保全など多岐にわたる検討が必要となる。また、複雑化する設備運用業務のコストダウンに向けた運用高度化技術も急速に進化している。これら「サービス品質」を重点分野の一つと位置付け検討を進めた。
◇インフラ技術
▽「有線」:インターネットによる映像サービスの普及や高精細化、テレワーク環境整備への対応など、ネットワークサービスの広帯域化への要望が高まっている。また、テレビサービスにおいてもFTTHへの移行が進んでいる。FTTHの差別化のためには、10Gbps化の推進に加えて、運用性、保守性や棟内・宅内も含めた施工の容易さなども重要な検討ポイントである。これからもFTTHなど光サービスへの移行が進むなかで、「有線」を重点分野の一つと位置付け検討を進めた。
▽「無線」:お客様宅内での最後のアクセスとしてのWi-Fiや光ファイバの代替手段としてのFWA・ローカル5G、IoT向けネットワークとしてのLPWA、Wi-Fi HaLowなど無線は「有線」を補完する重要な技術である。高品質なテレビサービスをはじめブロードバンドサービス、IoTサービスを無線インフラを介して提供する場合、エリア設計、回線の誤り制御、帯域管理など検討項目は多い。ますます進化・多様化する「無線」を重点分野の一つと位置付け検討を進めた。
◇相互連携
▽「オールIP」:映像サービスのIPによる放送・配信のみならず、テレビサービスの高度化、運用高度化、サービス間連携による付加価値創出などIP技術は欠かすことがない。また、前述したインフラ技術軸、サービス技術軸で表したように他の4つの重点分野と密接に関連を持っており、それぞれ単独で完結するものではない。「オールIP」では、そうしたIP技術を駆使したあらゆるケーブルサービスを整理して提示する。ラボではオールIPを5つの重点分野の中核に据え調査研究活動を推進した。
なお、急速に進化する「AI」については、全ての技術領域に大きなインパクトを与えることから、2025年度より「AI&オールIP」として扱うことにする。
この記事を書いた記者
- 元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。
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