
TOKAIケーブルネットワーク 岩本光司社長に聞く(2)
――TOKAIケーブルネットワークの事業の特色をお聞かせください
「我々はケーブルテレビ10社が集まって事業体を構成しています(※)。各社の地域性や特長をそのまま残して事業を展開しているところが特色であると捉えています。各社の持つ長所は、当然その地域にニーズがあった結果として育まれたものですので、それをそのまま活かしていくよう努めています。コミュニティチャンネルは勿論サービスメニューも各社オリジナルであり、それぞれの独自性を尊重しています。その一方で、グループ運営による優位性も追求しています。コミチャン分野においても、グループで共同配信システムを構築するなど番組放送にスケールメリットを発揮しており、そのシステムを活用して視聴者謝恩のプレゼント企画を全社横断放送した『コミチャン10社合同大謝恩祭 5時間生放送』は視聴者に好評を得ています。加えて、当社グループでは営業委員会、技術委員会、放送委員会、管理委員会という横断的な協議体を常設しており、月に1回各社の各部門責任者が集まって委員会を開いています。その中で各社の成果を報告し合って、良いところは他社も取り入れています。各社がそれぞれの地域社会の中で培ってきた特長を活かしながら、グループとしての一定の統制を保つことでスケールメリットを生み出していくことが、私どもの運営の方針です」
――先ほども話が出ましたが、特色のひとつは様々な地域課題解決型ソリューションの提供だと思います。具体的にいくつか教えてください
「7月より、AI技術を活用した『AI防犯カメラ』サービスの提供を開始しました。AI画像解析技術を搭載し、24時間体制で不審者や異常行動などを自動で検知します。録画データは高セキュリティの国内クラウドサーバーに60日間保存され、必要に応じて過去の映像を確認することが可能です。さらに異常が検知された際には、スマートフォンやPCにプッシュ通知が送信されるとともに、自動フラッシュライト機能やスピーカーによる威嚇機能により、迅速な対応をサポートします。また、専用ブラウザアプリを通じて、リアルタイムで映像を確認することができ、外出先からでも自宅やオフィスの状況を把握することが可能です。お客様の不安解消に貢献できるサービスだと考えています。地域行政に対しても様々なソリューションを提供しています。観光施設におけるAIカメラでの『車両ナンバーによる来訪者分析』は、インバウンド施策の立案に生かされております。またインテリジェントビデオコンテンツ解析(VCA)を通じた市内歩行者の動態調査などの『滞在時間・人数カウント』は、まちづくり計画等に活用されています。さらに防災面においては、河川を監視カメラ・センサーで遠隔モニタリングして、ワンストップでの情報周知で早期退避対処に寄与する『AI水位予測』を提供しています」
――地域密着に特化したサービスも好評です
「2020年に開始した静岡市内のシェアサイクル事業『パルクル』は、2025年3月末で利用者累計7万人を突破しました。通勤・通学や市内回遊など市民の移動手段として定着しており、地域内の交流を促進しています。具体的には、静岡市内に700台の電動自転車及び、248箇所の駐輪用ステーションを設置。スマホアプリで自転車の空き状況確認やレンタル、返却の予約が可能です。それから2022年度にフィットネス事業に参入しました。倉敷市の児島店を1号店に静岡にも横展開して事業を拡大しています。また、2025年7月、エルシーブイが長野県諏訪市地域において生活支援サービスを始めました。ハウスクリーニング・家事代行等の生活支援サービスを全国展開する『Benry』(ベンリーコーポレーション〈愛知県清須市〉が運営)のフランチャイズチェーンに参画して家庭のお困りごとの解決を事業として展開していきます」
この記事を書いた記者
- 元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。
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