2025年1月24日(7765号)

 横浜ゴムはトラック・バス用タイヤの打音からAI(人工知能)を活用して空気圧状態を判定する技術を開発し、実証実験を開始した。これまでドライバーの経験に依存していたタイヤ空気圧の打音点検にAIを導入することで、判定精度向上による安全運行、省力化によるコスト削減や業務効率化、適切な空気圧管理による燃費向上などにより、物流業界の課題解決につなげる▼これまで、ハンマーによる打音点検が主流となっており、熟練者の勘に頼っていた。同社は、メトリカ社(東京都渋谷区)と協力して、さまざまな環境音の中からタイヤの打音を識別し、打音がいつからいつまで発生したか(打音区間)を抽出し、抽出された打音に基づいて空気圧を予測するAIアルゴリズムを開発した▼実用化すればスマートフォンからタイヤの打音をアプリに録音するだけで空気圧値や充填の必要性をアプリ上で視覚的に把握できるため、専用機器の設置や判定スキルの習得なしで、誰でも高精度な空気圧点検が可能になるという。専用のアプリケーションを試作し、現在、運輸会社での実証実験を実施している▼記者は不勉強で、AIといえば画像や映像からの情報をディープラーニングしているものと思っていた。音声の学習も可能なら今まで熟練者の経験に頼っていた、例えばトンネル内や橋桁の検査の打刻音の判断も可能。様々な点検業務に活かせれば、人材不足の業界にはうってつけのアイテムになる。(T)

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田畑広実
元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。