2025年6月16日(7822号)

日本学術会議の法人化法が11日の参院本会議で可決・成立した。日本学術会議は来年10月から特殊法人として生まれ変わる▼日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信の下、行政、産業及び国民生活に科学を反映、浸透させることを目的として、昭和24年1月に内閣総理大臣所轄で、政府から独立して職務を行う「特別の機関」として設立された。日本の人文・社会科学、生命科学、理学・工学の全分野の約87万人の科学者を内外に代表する機関で、210人の会員と約2000人の連携会員が所属。「科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ること」と、「科学に関する研究の連絡を図り、その能率を向上させること」の2点を主な職務に、また「政府・社会に対して日本の科学者の意見を直接提言」「市民社会との対話を通じて科学への理解を深める」「地域社会の学術振興や学協会の機能強化に貢献」「日本を代表するアカデミーとして国際学術交流を推進」の4点を主な役割に掲げている▼学術会議を巡っては、会員の任命手続を巡り、学術会議と政権側が対立。政治的中立性の担保として第三者を参画させたい政権側と、自主性・独立性の確保を主張する学術会議側とで意見が割れていた▼新法では国から独立した特殊法人を認めつつ、会員選考や業務等について意見を述べる外部介入を認めた。トランプ政権による研究予算の縮小が波紋を広げるが、一般にも分かりやすい議論が必要だ。(K)

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kobayashi
主に行政と情報、通信関連の記事を担当しています。B級ホラーマニア。甘い物と辛い物が好き。あと酸っぱい物と塩辛い物も好きです。たまに苦い物も好みます。