2025年6月2日(7816号)
夏も近づいてくると、夕方に自転車を走らせたりしていると不意に目や口の中に小さな虫が飛び込んでくることがある。振り返ると大量の小さな羽虫が一カ所にとどまって飛び続けている。いわゆる「蚊柱」と呼ばれる現象で、煩わしい思いをしたのは記者だけではないはずだ。蚊柱はユスリカと呼ばれる昆虫の集合体とされているが、現在開催中の大阪・関西万博会場で大量発生していることが話題となっている▼ユスリカは主に河川など水辺に近い場所に生息し、蚊に似ているが人を刺すことはない。繁殖期になると単独行動する雌に羽音でアピールするために雄が集まって飛行するのが蚊柱の理由とされている▼万博会場である夢洲は埋め立てによる人工島であり、元は水場でユスリカの繁殖に適していたとされる。本来は鳥やユスリカをエサとする昆虫も生息していたが、夢洲開発によりユスリカにとっての天敵がいなくなったことで大量発生につながったとされている。ユスリカは蚊のように血を吸うことはないが、風に運ばれた死骸を吸引することでアレルギーを引き起こす原因となったり、視覚的にも不快感を与える不快害虫としても知られている。運営側は殺虫剤大手のアース製薬に依頼して駆除等の対策に乗り出しているが、すぐに効果が出ているとは言えない状況という▼皮肉にも「いのち輝く未来社会のデザイン」のテーマがあらためて存在感を示しているようだ。(K)
この記事を書いた記者
- 主に行政と情報、通信関連の記事を担当しています。B級ホラーマニア。甘い物と辛い物が好き。あと酸っぱい物と塩辛い物も好きです。たまに苦い物も好みます。