2025年5月19日(7811号)
一般社団法人最先端表現利用推進協会が主催する第8回羽倉賞の受賞者記念講演会を取材した。最先端技術を自負するだけあってどの作品も見応えが多く、記者としても大いに勉強させていただいた▼羽倉賞は、主催する表技協の創設者であり、3D立体映像、ホログラフィ、VRなどの最先端表現技術の研究、普及に多大な功績を残した故・羽倉弘之氏の功績を称え、表現技術の質を高めて広い分野への普及に貢献するために、2017年に創設された。分野を問わず最先端の表現技術を活用した作品や取り組みを通して社会に貢献した功績を毎年表彰している▼どの作品も興味深かったが、中でも個人的に目を引いたのは、明治大学総合数理学部の宮下芳明教授が発表した奨励賞の「Chronospoon:時を操る調味食器」。氏としては第5回に続き2度目の奨励賞受賞という▼宮下教授は、微弱な電流を流すストローや箸、フォークで飲食物の味を変えて食体験の味覚を拡張する研究に関する論文によって、東京大学の中村裕美特任准教授(受賞対象論文の発表時は明治大学大学院博士前期課程に在学)と共に2023年のイグ・ノーベル賞(栄養学)を受賞した。受賞作品はこの流れを汲むもので、飲食物の熟成課程をモデル化して再現した液体を抽出、加えることで味の時間経過をコントロールするという。フードロスが社会課題となる中、大きな可能性を秘めていると感じた。(K)
この記事を書いた記者
- 主に行政と情報、通信関連の記事を担当しています。B級ホラーマニア。甘い物と辛い物が好き。あと酸っぱい物と塩辛い物も好きです。たまに苦い物も好みます。
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