2025年9月8日(7855号)

 全国各地でクマによる被害が相次いでいる。環境省によると、今年4月から8月末までに全国でクマに襲われる人身事故の発生件数は62件で過去最多となった2年前と並ぶ勢いという

▼クマに襲われる被害を受けた死傷者数は69人で、うち5人が死亡。発生地域別に見ると、岩手県と長野県が共に13件と最も多く、次いで秋田の8件、福島や新潟の5件と続いている。クマによる被害が増加している原因としては、温暖化や異常気象に伴い主食とされているブナやドングリなどの木の実が不足していることや、人口減少、高齢化等による人間の活動低下と耕作放棄地の増加に伴うクマの生息域の拡大が挙げられている。また環境保護や狩猟規制による個体数の増加や行動変化等様々な要因が密接に絡み合っているとされている

▼北海道砂川市では、市の要請を受けてクマの駆除のために猟銃を使用した男性が「周辺の建物に到達する恐れがあった」ことなどを理由に猟銃所持の許可を取り消される事案が発生。この措置に反発する地元猟友会が自治体からの駆除要請を拒否する事態に発展したことも話題となった。この措置取消を巡る裁判は現在も続いている

▼9月1日から、市町村の判断で市街地での発砲を認める改正鳥獣保護管理法が施行された。クマなどが生活圏に侵入し、かつ緊急性が高く人に弾丸が到達するおそれがないといった条件を満たした場合に猟銃使用を認める「緊急銃猟」を盛り込んだ

▼環境変化で野生動物との共生の在り方も変化する中、法整備にも柔軟性が求められる。(K)

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kobayashi
主に行政と情報、通信関連の記事を担当しています。B級ホラーマニア。甘い物と辛い物が好き。あと酸っぱい物と塩辛い物も好きです。たまに苦い物も好みます。