「放送人グランプリ2025」結果発表 「グランプリ大賞」はNHK大河ドラマ『光る君へ』

一般社団法人 放送人の会(東京都千代田区、今野勉会長)は5月25日、同会が主催する「放送人グランプリ2025」(第24回)の贈賞式を千代田放送会館で開催した。

 

2002年に創設された「放送人グランプリ」は、毎年度の放送番組の中から、「放送人の会」会員が推薦した番組を審査して顕彰する〝放送人の放送人による放送人のための賞〟。

 

今回、「グランプリ大賞」に選ばれたのは、NHKが2024年に放送した大河ドラマ第63作『光る君へ』(1月7日~12月15日・全48回)。平安時代中期の長編物語「源氏物語」の作者である紫式部/まひろ(吉高由里子)と、時の権力者・藤原道長(柄本佑)の関係を軸に、平安時代に生きた人々の姿を美しい映像で描いた。戦乱の世や武者たちの合戦シーンを中心とする従来の大河とは一線を画し、平安の女性作家たちが物語の力で人の心を、ひいては国を動かすという新しい大河作品として幅広い視聴者層に支持された。大河ドラマが本賞のグランプリを獲得したのは今回が初。脚本は「オードリー」「功名が辻」「セカンドバージン」(NHK)など、数多くの優れたテレビドラマを手掛けた大石静氏。

 

贈賞理由を放送人の会では、「本作の主軸は、貧しい下級貴族の出であるまひろが、物語を書くことによってフィクションの世界で想像の翼を広げ、自由になっていくところにあったのではないでしょうか。熾烈な権力闘争の結果、天皇を凌ぐほどの最高権力者に上り詰め、やがて己を失い、まひろに依存していく道長の思惑とは対照的に、物語の力で自由で強い女性へと変貌していくまひろの姿は、閉塞感のある現代を生きる視聴者の心を捉え、勇気づけてくれました」とし、さらに「脚本家の大石静さん、制作統括の内田ゆきさん、チーフ演出の中島由貴さん、作曲家の冬野ユミさんら女性たちが率いた制作陣も、大河ドラマの歴史に新しい1ページを刻みました。資料の少ない平安時代の衣裳をはじめ、和歌、漢詩、書道、五節の舞、曲水の宴などの雅な文化と、陰陽師や呪詛など魔術的な側面という、中世の光と影を丁寧に表現した美術や技術スタッフ、抑制の効いた自然な演技で1年間を駆け抜けた吉高由里子さんや柄本佑さんをはじめとする俳優陣にも賞賛を送ります」とコメントしている。

 

なお、「グランプリ大賞」以外の賞は以下の通り。

 

グランプリ優秀賞
▽福井テレビ開局55周年記念ドキュメンタリー「罪の壁 危険運転致死傷罪の23年」
▽「ニュースパレード」文化放送とNRN加盟33局
▽NHKスペシャル「封じられらた〝第四の被曝〟―なぜ夫は死んだのか―」

 

グランプリ特別賞
▽「阪神・淡路大震災30年関西民放NHK連携プロジェクト」
▽手塚孝典氏(信越放送)、
▽落合恵子氏

 

大山勝美賞
▽飯田和孝氏(TBSテレビプロデューサー)
▽水野格氏(日本テレビディレクター)