
[注目番組]NHK総合『tiny desk concerts JAPAN』石川さゆりfeat. fox capture plan 6/1深夜放送
「津軽海峡・冬景色」を大胆アレンジで披露
米国の公共放送「NPR」(National Public Radio)がネットで展開し、全世界にブームを巻き起こした音楽番組「tiny desk concerts」。〝小さな机のコンサート〟というタイトルの通り、アーティストがNPRの小さなオフィスでパフォーマンスする異色のスタジオライブ番組で、大規模な音響機器を使わないオーガニックなサウンドと、こじんまりした親密な雰囲気で瞬く間に人気コンテンツに成長した。テイラー・スウィフトやBTSなど世界のビッグネームが多数出演し、日本人アーティストにとっても憧れのプラットフォームとなっている。
NHKでは、米国NPRよりライセンス供与を受け、日本独自の「tiny desk concerts JAPAN」を2023年に立ち上げた。今年4月にスタートしたシーズン2の第2弾アーティストとして登場するのは歌手活動53年目に突入し、NHK紅白歌合戦では女性歌手として最多の47回出場を誇る石川さゆり。近年、演歌だけでなく、ロックやジャズ、民謡、ヨサコイ等とのコラボレーションに積極的に取り組んでいる石川が自身の代表曲や童謡、ブルースを大胆アレンジで披露し、めったに見られない彼女の新しい面を楽しめる貴重な回となった。
収録場所となったのはNHKのオフィスの一角。約200人ほどのスタッフが見守る中、千代正行(ギター)、雨宮麻未子(ヴァイオリン)、関口将史(チェロ)、松本峰明(ピアノ)の〝石川さゆりバンド〟の面々と登場した石川。ライブはジャズ風にアレンジした代表曲「津軽海峡・冬景色」でスタートした。続いて米国ニューオリンズで生まれたトラディショナルソング「朝日のあたる家」を日本語に訳した「朝日楼」をささやくように歌い、続いて水上勉の小説がモチーフで1994年に発表した「飢餓海峡」をギターとチェロだけの演奏で熱唱した。
ここでバックバンドが若手ジャズミュージシャン3人(岸本亮、カワイヒデヒロ、井上司)によるピアノトリオバンド「fox capture plan」にバトンタッチ。石川と彼らが演奏したのは、ジャズ&ファンク風に大胆アレンジした童謡「ずいずいずっころばし」。そして、ラストの曲として歌われたのは、CMソングとしても知られるヒット曲「ウイスキーが、お好きでしょ」だった。
収録を終えた石川は「きょうはとても新鮮な体験をさせていただきました。本物のオフィスで歌ったのは初めてです。普段のコンサートとは違い、皆さんのお顔がよく見えて楽しかったです」と感想を述べ、「昔はとにかくちゃんと歌わなくては、とやってきましたが、最近はその日、その日の瞬間の空気感を気持ちに込めて歌っています。上手に歌いたいのはもちろんですが、〝上手〟ってどういうことなんだろうって考えるようになってきました」と楽曲に向かう心境の変化を話し、充実の表情を見せていた。
■番組概要
『tiny desk concerts JAPAN』石川さゆりfeat. fox capture plan
【放送】総合 6月2日 0:25~0:54(1日〈日曜〉深夜)
この記事を書いた記者
- テレビ・ラジオ番組の紹介、会見記事、オーディオ製品、アマチュア無線などを担当