[NHK]アメリカの“リアル”を「クローズアップ現代」「ETV特集」「NHKスペシャル」で横断特集

激動するアメリカの「今」を多角的に捉え、その行方が世界に与える影響を掘り下げる

 

トランプ大統領の就任以降、アメリカが次々と打ち出した政策によって世界がめまぐるしく変化する中、NHKは米国の現状を徹底取材した3つの番組を放送する。現地ルポに加え、学術の場での「知の流出」や、イーロン・マスクが深く関わってきた謎の組織の実態など、多角的な視点から「大国アメリカはどこへ向かうのか」という問いに迫る。

 

■クローズアップ現代:「アメリカの“知”はどこへ 頭脳流出で変わる世界」(Eテレ/7月16日午後7時30分)
 

アメリカのアカデミアで起きている“知の自由”への圧力に焦点を当てる。トランプ大統領がハーバード大学をはじめとする大学・研究機関への圧力を強める中、多くの留学生が先行きの見えない状況に置かれ、認知症予防、感染症対策、気候変動など、様々な分野の研究に影響が及び始めている。

 

アメリカを離れることを決めた学生

 

こうした状況から、アメリカ国外に研究の場を求める研究者も現れており、「頭脳」流出が懸念されている。これに乗じて、ヨーロッパやカナダではアメリカから流出する研究者を獲得しようとする動きが活発化。日本でも、東北大学がアメリカの大学と連携し、5年間で300億円を投じて500人の研究者を獲得する取り組みを始めるなど、その影響は広がりを見せている。番組では、アメリカの知の現場で何が起きているのか、トランプ大統領の狙い、そして日本や世界への影響を徹底取材する。

 

■ETV特集:「アメリカ 地殻変動の深層」(Eテレ/7月19日午後11時)

 

「アメリカはどこへ向かうのか?」という大きな問いを掲げ、揺れ動くアメリカの“リアル”に迫る。特に注目されるのは、MAGA旋風が吹き荒れるオハイオ州からの現地ルポ。ここでは、“取り残された市民たち”のリアルな生活と本音を深掘りする。

 

現地を取材する道傳愛子
 

ハーバード大学のマイケル・サンデル教授は、トランプ大統領が訴える市民の不満の一部は正当であると指摘。番組では、国際開発庁の解体や大学への助成金停止、DEI政策の見直しなど“常識”を覆す政策変更が続くアメリカの現状を分析。NHKでキャスターや解説委員を務め、現在はアメリカで研究生活を送る道傳愛子が、激動の渦中にいる知の巨人たちと対話し、トランプ政権下で進む地殻変動を歴史的文脈と社会的視点から掘り下げ、アメリカと世界のこれからを展望する。

 

■NHKスペシャル:「イーロン・マスク “アメリカ改革”の深層」(総合/7月27日午後9時)
 

7月27日に放送予定のNHKスペシャル「イーロン・マスク “アメリカ改革”の深層」では、先月「アメリカ党」を立ち上げると表明し世界を驚かせたイーロン・マスクと、彼が深く関わってきたとされる謎の組織「DOGE(政府効率化省)」の実態に迫る。マスクはトランプ大統領の就任直後から5月までの間、DOGEを率いてUSAIDや教育省などから約20万人もの政府職員を解雇し、1900億ドルもの削減を実現したとされている。

 


ゲッティ
 
政権を離れた後もマスク氏の思想を遂行し続けるDOGEは、現在も政権中枢で影響力を発揮する謎に包まれた組織。番組では、DOGEメンバーと直接対峙した人々や元メンバーを徹底取材、効率化の名の下に行われる大量解雇の内幕や、政府機密情報の掌握を目論む知られざる“計画”を明らかにする。さらに取材班は、マスクらの改革を支持するシリコンバレー出身の「テック・ライト(右派)」や、彼らの思想に影響を与える歴史家と接触。その結果、政権中枢から官僚制度を根底から覆し、AI主導の新たな国家像を作り上げようとする“思惑”が浮かび上がってきた。イーロン・マスクとその支持者たちが脳内に秘める「アメリカ改造計画」の全貌を追う。