
NHK青森放送局 FMシアター特別番組ラジオドラマ『彼女たちの夜明け』7/26放送
青森を舞台に、女性ふたりのあきらめない恋愛を描く
NHK青森放送局は、青森市を舞台にしたオーディオドラマ『彼女たちの夜明け』を26日の夜、NHK‐FMで放送する。本作は、性の多様性を地域で描く画期的な試みとして注目されている。
脚本を手がけたのは、NHK夜ドラ「作りたい女と食べたい女」など、レズビアンの生活や恋愛、性的マイノリティの存在を丁寧に描いてきた実績があり、その繊細な筆致に注目が集まっている山田由梨。山田はオファーを受け、3月初旬に青森に向かい、執筆のための取材を行い、青森で暮らす性的マイノリティの当事者たちから多くの話を聞き、悩みながら脚本を書き上げた。
登場人物たちが青森で暮らすリアリティを出すため、キャスティングは青森出身の俳優を中心にオファーが行われた。主人公・大澤千紘役の佐々木史帆は青森市出身で、地元青森への強い愛情を持つ俳優として知られている。一方、愛知県出身で津軽弁初挑戦となる山本爽子役の清水葉月は、収録前にリモートで青森ことばの指導を受け、現場ではほかの出演者から「うますぎる!」と絶賛されるほどの演技を披露したという。千紘と爽子、二人の息の合った会話や一緒に歌うシーンも聴きどころで、収録では、台本が青森ことばに翻訳され、アドリブも飛び交う和気あいあいとした雰囲気で進められたという。
収録の様子(右から:佐々木史帆、清水葉月)
本ラジオドラマの演出を担当した石名遥ディレクターは、性的マイノリティを描く物語が都会を舞台にすることが多いなかで、青森という地方で「性的マイノリティが幸せになる物語」があってほしいという強い思いから企画書を作成したという。物語の重要なシーンでは、揺れ動く千紘の心情に寄り添うように波の音が用いられ、「揺れる波が夜を開き、夜明けが現れて、二人の背中を押すようなイメージ」で制作したと話している。
■あらすじ
青森市で暮らす千紘には、ずっと好きだった同級生・爽子がいた。8年間会っていなかったが、ある日爽子から連絡が。2週間だけ東京から青森に戻ってくるという。再会した二人は時が戻ったように意気投合し、かけがえない時間を過ごしていく。4年前に離婚していた爽子は、やはり好きなのは千紘だと確信する。一方、千紘は爽子に思いを寄せているものの、レズビアンとして青森で暮らしていく難しさを感じており、一歩踏み出すことができない…。
■番組概要
FMシアター特別番組『彼女たちの夜明け』
放送:7月26日 午後10時から〈NHK‐FM〉
この記事を書いた記者
- テレビ・ラジオ番組の紹介、会見記事、オーディオ製品、アマチュア無線などを担当