[NHK]「クローズアップ現代」「海藻パワー」食卓の脇役から世界の救世主へ ニッポンの可能性

NHK Eテレの「クローズアップ現代」では、9月3日の放送回でいま世界が熱い視線を注ぐ「海藻」の知られざる魅力に迫る。これまで食卓の添え物や脇役とされてきた海藻だが、ビジネスチャンスの創出や地球温暖化対策の最前線で存在感を発揮している。番組では、その最前線を多角的に取材した。

 

世界銀行は、海藻養殖市場が2030年までに118億ドル(約1.7兆円)規模に成長する可能性があると発表している。海藻はミネラルやビタミン、食物繊維が豊富な「スーパーフード」として人気を集め、この動きにビジネスチャンスを見出し、参入する企業が相次いでいるという。

 

脇役から主役へ 知られざる海藻ビジネスの最前線を取材

 

食の分野では、海藻が従来の「脇役」という概念を覆し、「主役の一品」へと変貌を遂げている。美容や健康をテーマにした料理教室では、海藻を主役にしたレシピが好評だという。高知県発のスタートアップ企業は、天然資源の枯渇に対応するため陸上養殖に挑み、安定供給の仕組みを築くことに成功した。同社が手掛ける鮮やかな色の海藻は料理の世界にも広がり、ミシュランシェフをも魅了している。海外に目を向ければ、“黒い半導体”とも呼ばれる韓国のりは大規模養殖が進み、生産量で世界をリードする。米国では海藻を使った麺やドリンクが普及し、海藻ドリンクを全米700店舗に展開した日本人起業家も登場するなど、海藻は新たな価値を拡大する時代を迎えている。

 

環境分野でも注目を集める海藻パワー

 

海藻をめぐる競争は、温室効果ガス対策の観点からも進んでいる。日本は昨年、海藻などのブルーカーボンによるCO2吸収量を、国連の場で世界で初めて報告した。沖縄では、コンブなどのぬめりに含まれる「フコイダン」という物質が、ブルーカーボンの研究のカギを握るのではないかと調査が進められている。さらに、コンブを効率的に養殖できるという岩手の「垂直養殖」研究には、世界の研究者が視察に訪れる。番組は、日本発のデータが国際競争をリードする可能性を秘めていることを伝える。

 

 

スタジオには、研究者としても活動する元日本テレビアナウンサーの桝太一をゲストに迎える。桝は「海に囲まれた国・ニッポンだが、陸に住んでいるとなかなか実感しづらい広大な“海の森”に囲まれ、その恵みによって生かされている」とコメント。「近くて遠い存在である『海藻』たちの知られざるチカラ。そして未来へ向けて、それを守り活かそうと奮闘する取り組みを番組で伝えたい」と、海藻の持つ可能性と番組への思いを語っている。

 

番組概要
「クローズアップ現代 世界が注目”海藻パワー“ 大国ニッポンが持つ可能性は?(仮)」
放送:2025年9月3日午後7時30分~7時57分〈総合〉