【CEATEC速報】三菱電機、裸眼で視認可能な3D空中映像

三菱電機は、「CEATEC 2025」において、独自の空中プロジェクション光学技術にデジタル映像処理技術を融合した新たなデジタル光学技術により、高輝度・高精細でリアルな映像を空中に表示する空中ディスプレイ「CielVision(シエルビジョン)」を公開した。
同社は今回、自由曲面ミラー1枚のみで、クリアな映像を空中に表示することを可能にした独自の空中プロジェクション光学技術に、空中映像の歪曲を補正するデジタル映像処理技術を組み合わせることで、高輝度・高精細で歪みのない空中映像表示を実現するディスプレイ「CielVision」を開発した。本ディスプレイは、2D表示に加え、空中映像重畳機能により両目に視差画像を同時に表示することで、裸眼で視認可能な3Dでの空中映像表示を実現した。また、従来方式を採用した空中ディスプレイに比べてスリム化を実現できたため、可搬性にも優れている。
同技術により、従来は適用が難しかったシーンへの空中映像の適用が可能になる。例えば、高輝度であることが求められる屋外、また、壁や頭上だけでなく通路の中央など、利用者の視界により近い任意の空間への案内表示などが可能となるため、道路や公共機関の案内表示などに本技術を適用することで、利用者の直感的な意思決定をサポートするなどの活用を見込んでいる。
また、同技術の最大ポイントは〝歪みを許容した〟点にあるという。自由曲面ミラーはどうしても歪みが生じてしまうが、これをハードウェアで補正しようとすると、とても高価になる。そのため同社では、歪みを許容し、その後デジタル補正を行うことで、歪みを除去することにした。これにより、シンプルかつリーズナブルに歪みを除去することに成功した。デジタル補正には、自動車をはじめとする様々な技術を応用しているという。
ブースでは3Dだけでなく、2Dの応用も紹介。高速道路の逆走防止に、逆走しようとした場合、運転者から侵入しようした方向に棒状のバーが表示され、あたかもブロックされたように感じられ、正しい方向に誘導されるというもの。この仕組みは車側ではなく、道路側に設置されるので、車側にはコストをかけることなく実現できる。
用途としてはインフラ、医療、エンタメなど様々ン分野に適用可能であり、すでに引き合いを受けており、今後積極的に展開していく考えだ。

空中ディスプレイの方式比較


デジタル映像処理技術による空中映像の歪曲補正(イメージ)


空中ディスプレイ「CielVision」(2D)の適用例(イメージ)

この記事を書いた記者

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成澤誠
放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。