Recursive、テレビ局の映像資料活用を効率化する人物検出AIシステムを開発
メモリー・ストレージ・ソリューション事業のメーカーであるNextorage(神奈川県川崎市、本多克行社長)とAIソリューションの開発を通して企業や組織のサステナブルな変革を実現するRecursive(東京都渋谷区、ティアゴ・ラマル代表取締役CEO)は、テレビ局が保有する膨大なアーカイブ映像の検索作業を効率化し、映像制作における活用をより効果的に支援する人物検出AIシステムの共同開発を、2025年10月より開始したと発表した。
同AIシステムは、テレビ局内の社内サーバーやシステム上でAIを構築・運用できる、オンプレミス環境でのシステム完結を可能にすることで、GPUリソース不足やクラウド依存によるコスト増、高度なセキュリティ要件などの課題を解決する。また、映像検索工数を最大90%削減し、テレビ番組制作現場における作業効率とコスト削減を同時に実現する。本AIシステムのデモンストレーションを、2025年11月19日(水)から21日(金)に幕張メッセで開催されるメディア総合イベント「Inter BEE 2025」にて行う予定。
映像業界全体、特にテレビ業界では、デジタル・トランスフォーメーション(DX)の加速やアーカイブ映像の効果的かつ効率的な活用へのニーズが高まっている。一方で、テレビ局には数十年にわたり蓄積された膨大なアーカイブ映像が保管されているものの、必要な人物が映っている素材を検索・抽出するには多大な工数を要し、資産を十分に活用できていないのが現状。さらに、AI導入にあたっては、クラウド利用に伴うセキュリティリスクや高額なGPU投資が大きな障壁となってきている。
このような課題に対し、Nextorageの放送業界向けストレージに関する豊富な知見と、Recursiveの高品質なカスタムAI開発力という両社の強みを掛け合わせることで、効果的な解決策を提示できると考え、共同開発の検討を開始。基盤にNextorageの戦略的パートナーである台湾Phison Electronics Corp.(ファイソン・エレクトロニクス)のオンプレミスLLM学習ソリューション「aiDAPTIV+」(アイダプティブプラス)を採用することで実現性が高まり、オンプレミス環境下で高セキュリティを維持したまま実用可能なAIシステムとして開発を進める運びとなった。
同AIシステムでは、利用者が検索したい人物名を入力すると、AIがアーカイブ映像を解析し、対象人物が映っているフレームを自動的に抽出して検索結果として提示する。これにより、従来は複数のモニターを確認しながら膨大な時間と手間を要していた映像検索作業を大幅に効率化し、必要な素材を迅速かつ効率的に見つけ出すことが可能になる。
主な特徴は以下の通り。
▽Phison社「aiDAPTIV+」を採用:GPUのVRAM不足を、システムメモリとSSDで補完できるため、省メモリ化と導入コストの低減を実現しつつ、オンプレミス環境での高いセキュリティを維持した運用が可能。
▽従来比約90%の工数削減:NVIDIA DGX構成比で、わずか2・5%のコストで同等の検索処理を実現する。
▽制作力強化:映像の検索工数が削減されることにより、編集・演出・ストーリーテリングなど、より戦略的かつクリエイティブな作業に集中可能になる。その結果、制作効率とコンテンツの質が向上し、視聴者にとってより魅力的で価値の高い番組制作を支援できる。
電波タイムズの取材に対し、「ベースとなる技術は、NextorageとRecursive双方の技術を活用します。本システムは、両社における下記の強みを掛け合わせ、2025年10月から共同開発しております。
Nextorage:放送業界向けストレージに関する豊富な知見。また、戦略的パートナーである台湾Phison Electronics Corp.(ファイソン・エレクトロニクス)のオンプレミスLLM学習ソリューション「aiDAPTIV+」(アイダプティブプラス)を採用し、GPUのVRAM不足をシステムメモリとSSDで補完できるため、省メモリ化と導入コストの低減を実現しつつ、オンプレミス環境での高いセキュリティを維持した運用技術をもっています。
Recursive:多様な分野や難易度の課題に対し、高品質なカスタムAIソリューションを開発する技術力を持っています。
映像業界全体、特にテレビ業界では、デジタル・トランスフォーメーション(DX)の加速やアーカイブ映像の効果的かつ効率的な活用へのニーズが高まっています。一方で、テレビ局には数十年にわたり蓄積された膨大なアーカイブ映像が保管されているものの、必要な人物が映っている素材を検索・抽出するには多大な工数を要しております。さらに、AI導入にあたっては、クラウド利用に伴うセキュリティリスクや高額なGPU投資が大きな障壁となり未だ課題を抱えられたままというのが現状です。今回の技術はオンプレミスで高精度である点を特長としており、セキュリティリスクやベンダーロックインリスクを回避しつつ性能にこだわるお客様をターゲットと想定しております」と答えた。
ブース・8312
トップ画像はあテレビ局向けアーカイブ映像の人物検出AIシステムのデモ画面(イメージ)

AIシステムが検出した人物のアーカイブ映像を表示する詳細画面(イメージ)
この記事を書いた記者
- 放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。



