 
                                              NVIDIA、ローカルPCと同等のゲーム環境~シネマティッククオリティストリーミングを導入
NVIDIAはこのほど「GeForce NOW Blackwell RTX メディア向け説明会&デモ体験会」を開催した。
同イベントでは、8 月のGamescom 2025で発表され、9月より順次提供が開始されている「GeForce NOW Blackwell RTX」アップグレードによって実現した、最大 5K 120fps のストリーミング、DLSS 4 マルチフレーム生成によるゲームプレイなどがクラウドゲーミングでどうなるかが体験できた。
NVIDIA は言うまでもなく、ゲーム向けGPUメーカーの最大手だ。そのNVIDIAがクラウドゲーミングサービスとして提供しているのがNVIDIA GeForce NOW。ローカルPCではなく、クラウド側のサーバーでゲームの描画処理を実行し、その映像を手元のPCなどデバイスに転送。操作をフィードバックしてゲームプレイを行うというもの。
当初はNVIDIA Ada Lovelaceなどをサービスに用いていたが、現在ではRTX Blackwellの提供も始まっている。これにより、NVIDIA DLSS 4へ対応。マルチフレーム生成をサポートしたことでフレームレートを最大4倍まで引き上げられるようになり、対応する環境では5K(5120×2160ドット)で120fpsに対応する。
また、シネマティッククオリティストリーミングも大きなポイントとなる。ローカルのゲーミングPCに匹敵するような画質で、ストリーミングを行うということを目的にしている。これまでユーザーからのフィードバックとして、ゲーム画面の暗い部分の色にじみの改善というのが求められていた。色にじみは、クラウドゲーミングの映像の圧縮方式が原因の一つになっている。今回、映像圧縮のコーデックのアップデートや、新たな色、色域の対応などを含め、様々なテクノロジーを搭載し、ローカルのPC と遜色のないレベルの画質というのを目指したという。特に、暗い部分での画質が、どうしても色にじみ、色が潰れてしまうことがあった。新しいシネマクオリティストリーミングモードを有効にすると、暗いところでもはっきりとディテールが確認できる。
また、デバイスのサポートの拡大も広げている。今年の春にSteam Deck 向けのGeForce   NOW ネイティブアプリの公開を行った。今回のアップデートでは、STEAMDECKのフレームレートがこれまでは60FPSだったものが、ネイテブで90FPS まで向上している。そして、STEAMOSを搭載するモバイルゲームのゲーム機の一つとして、LenovoのLegion Go 2があるが、同機を使用する場合、120FPS でのストリーミングが可能。
NVIDIAでは「サーバー側のGPU を使った非常に美しいグラフィックス、高いフレームレートのゲームを楽しむこともできますし、そしてバッテリーの駆動時間を長くするといったメリットもあります。
ローカルのCPU、GPUのですね、負荷を減らし、サーバー側でほとんどのことが処理されますので、ネイティブで手元で動かすよりも長い時間、ゲームをプレイすることができます。大体ですね、バッテリー駆動時間二倍ぐらいに向上します。
そしてもう一つ、デバイスの拡大、サポートの拡大として周辺機器のサポートですね。こちらもあります。レースゲームをプレイされる方はレーシングホイールですね。ハンドルコントローラーでプレイされている方も多いと思います。
これまでGeForce NOW ではこういったサポートできていなかったんですけども、この秋のアップデートでレーシングホイールしっかり動作するようになっております。
ハプティクスと呼ばれる反動もしっかりと受け取ることができる非常にリアルな体験をGeForceNOW でもプレイできるようになっております。そして、ディスプレイのサポートも拡大しておりまして、LGさんはスマートTV を展開なさっておりますけれども、そのスマートTV 上でGeForce NOW のアプリをですね、ダウンロードインストールしてプレイすることができます。テレビです。LG のテレビだけで済むわけですね。PC とかも接続せずに、テレビだけでプレイできるようになっております。しかも、LG の今年のモデルからはですね、4K 120FPS でのストリーミングが可能になっております」と語る。
今回のアップデートではUltimateユーザー向けに「GeForce RTX 5080」相当のグラフィックスを利用できるサーバー「GeForce RTX 5080 SuperPod」により一部のゲームタイトルで利用できるようになった。
5080 SuperPodでは、BlackwellアーキテクチャのGPUで利用できる超解像/フレーム生成技術「DLSS(Deepl Learning Super Sampling) 4」を利用可能で、対応ゲームであれば4080相当のサーバーを利用した場合と比べて平均フレームレートが最大2.8倍となる。
最大解像度とフレームレートが「5K(5120×2880ピクセル)/120fps」に引き上げられた他、「フルHD(1920×1080ピクセル)/360fps」「WQHD(2560×1440ピクセル)/240fps」のストリーミングも可能。
さらに、Ultimateプランで5080 SuperPodを利用する場合、より高品質なストリーミング「Cinematic Quality Streaming(CQS)」が使用できる。CQSはローカルでゲームを実行した場合と同等の高画質を目指している。主な改善点は、色空間の拡大(YUV 4:4:4への対応)、色深度の拡大(HDR10/SDR10への対応)、AV1コーデック+RPR(Reference Picture Resampling)でのストリーミングに対応、ディスプレイのDPI検知(画素密度に応じた映像の最適化)など。
説明会では、「黒神話:悟空」(Steam版)でCQSのデモンストレーションを行っていた。左はAV1コーデックでYUV 4:2:0、右はH.265コーデックでYUV 4:4:4でストリーミング配信したものだが右側の方が暗い部分もくっきりと描画されている。なお、AV1コーデックがYUV 4:4:4でないのは、まだ検証がまだ終わっていないからだという。



この他、今回のアップデートでは、プレミアム(Performance/Ultimate)プランを対象に「Install-to-Play」という新機能が用意されている。GeForce NOWでは、あらかじめサーバーにインストールされたゲームアプリをサーバーで稼働する。一方、Install-to-Playは、配信されているゲームをサーバーにインストールしてストリーミングするもの。現時点ではSteamで配信されている2200以上のタイトルで利用できる。
プレミアムプランを契約しているユーザーには、100GBの「シングルセッションクラウドストレージ」が割り当てられ、セッション中は内容が維持されるようになっている。永続的に保存したいという場合は「永続クラウドストレージ」を別途購入が必要だ。永続クラウドストレージの容量と価格は、200GB:月額490円、500GB:月額840円、1TB:月額1390円。
「本当にクラウドゲームとローカルのPC をその横に置いて比較したとしても、ほとんど分からないと思います。
一昔前だと、やっぱり遅延があるとか、ネットワークの転送で映像がちょっと汚く見えてるとかがあり、クラウドゲームに悪い印象をお持ちの方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、本当にそのあたりを全てがクリアできたんじゃないかと思います。是非、最新のゲーミングを体験して欲しいと思っています」(NVIDIA)。


この記事を書いた記者
- 放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。
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