アンリツ、多層グラフェンの光学特性を包括的に解明
アンリツは、アンリツの先端技術研究所(以下、先端研)が、多層グラフェンの可視光域での光学コントラスト、反射率、ラマン散乱の性質とこれらの関係を包括的に解明したことを発表した。本研究成果は、NTT物性科学基礎研究所との共著論文として、炭素系物質について最先端の研究を掲載する国際科学雑誌「Carbon Trends」に公開されました。
先端研では、アンリツの経営ビジョンである“「はかる」を超える。限界を超える。共に持続可能な未来へ。”の実現を目指し、基礎研究を進めています。そのひとつとして、グラフェンや多層グラフェンを用いた次世代デバイスの実現を目指しています。
グラフェンは炭素の単原子層膜のことで、極めて薄く、軽量かつ透明であることに加え、非常に高い強度と柔軟性を持ち、電気伝導・熱伝導に優れるため、次世代エレクトロニクス、エネルギー、通信、医療など多様な分野での応用が期待されています。
このような性質を持つグラフェンを積層させることで、グラフェンの優れた特性を保持しつつ、新しい機能を発現させる試みが注目されています。
しかし、多層グラフェンの光学的な性質に関する研究は、ごく薄い(層数の少ない)領域に限られていたり、各研究が独立に行われたりして、各特性の関係についてはこれまで明らかにされていませんでした。
本研究では、厚さ約0.3 nmの単層グラフェンから約100 nm (約318層) に至る多層グラフェンについて、可視光域での光学コントラスト、反射率、ラマン散乱という光学特性を包括的に研究し、これらの性質と相関を世界で初めて明らかにしました(2024年8月、アンリツ調べ)。
本研究により多層グラフェンの研究や応用利用への貢献が期待できます。
例えば光学コントラストでは、層数による多層グラフェンの色の変化を定量的に示すことに成功しました。この知見を用いれば、高額な装置を使わなくても、光学顕微鏡写真から多層グラフェンの厚さ(層数)を±1 nm(~5層)の精度で知ることができます。
また光学素子として応用する際には、その反射率を正しく予測する必要がありますが、本研究ではそれがごく単純な計算で得られることを示しました。
今後は光の波長を可視光域から光ファイバ通信の波長帯(近赤外域)まで伸ばし、多層グラフェンの光学素子としての可能性を拡げていきます、と話した。
この記事を書いた記者
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主に企画、広告営業を担当。
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最近ではギアにもこだわりをもっています。
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