
JEITA新会長漆間氏、一問一答
漆間啓新会長の就任会見での一問一答は次の通り。
―自動車や電子部品業界等で、再編や買収等の動きがある。一般論として資本市場の再編の動きと影響をどう考えるか
自動車業界では一、二年前までEV化が加速すると言われていた。ヨーロッパやアメリカをはじめ日本もそこに向けて動いていたが、トランプ政権となり、見直しの動きも出てきた。その中でプラグインハイブリッド等が中心となり、アメリカのメーカーもエンジン車開発に取り掛かるなど非常に難しい局面に入っている。将来的には必ずEV化に進むと考えるが、その状況をそれぞれのメーカーが見極めているところだと考える。半導体も二年前までは急激に増えると言われていたが今は多少停滞している。根本的にはEV化というのが普通の動き。資本市場については、個社の問題もある。それぞれどちらに行くかによって再編か協業かを選ぶ。そういう意味では、方向的にどうなるかというより、個社それぞれがwinwinの方向に進んでいくということ。一般論としては関税の問題もあるので、自動車産業自身やJEITA傘下企業も動向を見る必要があり、JEITAとしても広く情報を提供して行く道を誤らないよう努力していきたい。
―トランプ関税の影響についてどう整理しているか、また協会としての対応については
トランプ関税については変動があまりにも多過ぎて方向性が見えていないというのが現実。日本政府も4回ほど交渉しているが、自動車関税をゼロにする動きをしっかりやっていただきたい。相互関税が続いていくとすると、電子部品も自動車に相当使われることになる。そうなると自動車業界だけでなく、間接的に半導体や部品メーカー等いろいろなところが影響を受ける。我々もしっかり情報を注視してどう動くか、中には関税回避の動きをとる企業も出てくると思うが、早期にアメリカに出るのが正しいのか、出ていったとしても部品メーカーが整っているかという問題もある。従業員採用できないという問題も聞いている。そうなると敵地に出ていかないといけない。裾野があるのかどうかということも見極めながら情報提供して会員企業のデメリットが減る方向でサポートしたい。
―大阪・関西万博開幕から三分の一が過ぎたがあらためて総括を
私も一度行ったが当初の想定より多くの方々が見に来られていると実感した。全体の目標やそれに対する来場者レベルは把握していないが、今までコロナ禍から脱してきている日本そのものであり、リングに上ってみて日本の技術を誇示できている。それぞれ努力や日本が持っている技術をうまく表現されているブースも数多くあり、見に来られた国民や海外の皆さんもあらためて日本の力を感じながら、また口コミも含めて最後の万博まで途絶えないように来場されると信じている。夏は非常に暑いので対策大変だと思うが成功裏に終わること祈念したい。
―経済安全保障の観点からサプライチェーン再構築への課題を
今一番の問題はレアアース。これが日本の自動車産業をはじめ多くの産業で問題となっている。米国と中国でレアアース供給に関して協議が続いていると聞いているが、中国と米国が合意すれば当面の課題は徐々に解消すると思われるが、解消しない場合には希少資源は色んなところから入手されていると聞くので、我々自身も情報取りながら会員企業に提供したい。困っている企業に少しでも良い情報を出せたら。
―2025年度のJEITAの半導体取り組む動きについて具体的な課題や今後の活動を
半導体産業にも関税をかけるという話がある。今後どんな展開になるかは気にしないといけない。政府間の協議ではあるが、しっかり協議してもらいたい。半導体は裾野が大きい。ひとたび関税がかかると色んなところにコストとなる。半導体は製品の技術革新のキーとなる。うまくかみ合わせて日本の競争力を高めることが一番の望むところ。
―デジタル化やソフトウェア強化の具体的な取り組みについて。また自動車をはじめ製造業でのOSの必要性について
SDX(Software―Defined Anything)は今後の目指すべき方向。IT赤字が大きな問題となっている。米国の牙城となっている中、我々がどのように対抗するかというと日本はまだ製造業に強みがある。この製造業を強くすることで対抗する、そのために必要なのがデジタルをマネジメントすること。これに対してソフトウェアの競争力を上げるということは、進化に合わせて常にバージョンアップできるということ。クラウド化への強みは難しいが、ものづくりの観点から優位性は維持できる方向にある。JEITAとしてもそこで支援していきたい。
―JEITAとしてのビジュアルコンテンツへの取り組みについて
放送業界は個々にコンテンツを作っている。アメリカの動向を見ると共同でやっており、競争力の差につながってくる。放送業界、その他機器メーカー、その他コンテンツ産業がどのように連携して効率化し、コンテンツを作るに当たってコスト削減できるかが重要。その辺のサポートを展示等を通じてしていけたらと考えている。
この記事を書いた記者
- 主に行政と情報、通信関連の記事を担当しています。B級ホラーマニア。甘い物と辛い物が好き。あと酸っぱい物と塩辛い物も好きです。たまに苦い物も好みます。
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