
新会長に副会長の受川氏、陸上無線協会臨時理事会で新体制
一般社団法人全国陸上無線協会は24日、通常総会後に臨時理事会を開き、会長ほか三役の新体制について決定した。副会長の受川裕氏(NEC)が代表理事・会長として新たに就任するほか、2人いる副会長の1人として新たに野田憲一氏(アイコム)が就任する。元田捷治副会長(田中電気)と杉浦誠専務理事は留任する。
臨時理事会後の懇親会で、会長退任が決まった桂氏は、「干支が一回りするほどこの協会にご厄介になっていたがその割にはあまり役に立っていなかったと反省している。特に自営無線は長いこと災害対策のために必要で、災害が起こるたびにいろんな形で役立っているが、その割には国の予算がつかないので衰退の一途をたどった在任期間だった。若い会長にバトンを渡したので色んな形でバイタリティ溢れる施策を打ち出して自営無線の再生に尽力いただけると心から期待している」とあいさつした。
続いて新会長に就任した受川氏は、「偉大な会長の後任なので私で本当に務まるか自問自答を繰り返したが、元々自営無線関係で育ってきたので何とか自営無線を盛り上げていきたいという思いで引き受けることにした。体制も重鎮の元田さん、専務理事の杉浦さん、新任の野田さんの新しい三役体制でぜひ引き立ててもらいたい。桂さんには特にMCA無線という諸外国と比較しても匹敵する無線を立ち上げ、自営無線の発展に色んな面で貢献いただき感謝している。偉大な会長の後で重責に身が引き締まる思い。桂さんの素晴らしい点は全国支部会員が円満な関係を築いてきたこと。私なりに全身全霊で自営無線の維持発展に努めたい。自営無線はCRは好調だが本丸のSRは厳しい。総務省のローカル5Gの政策等で社会実装も広がりつつあるが、SR全般はかなり厳しく復活が重要と考えている。DX(デジタルトランスフォーメーション)と巷ではよく耳にするが、自分なりに『RX』(ラジオトランスフォーメーション)を進めるために全身全霊を打ち込んでいきたい。市場環境は国際的にみても防災関係で追い風にあり、この追い風をいかにとらえるかが重要。協会の皆さんの英知を絞って風を捉える動きができれば」と抱負を語った。
来賓として、総務省総合通信基盤局電波部移動通信課の小川裕之課長が出席。「桂前会長は12年会長を務めて協会発展にご尽力いただき、総務省としても深く敬意を表したい。また業界の発展のみならず、適正な電波利用の確保にご尽力いただいたことにも感謝したい。協会の皆さんには簡易無線はじめ無線局の免許申請サポート等、総合通信局の申請書の審査軽減、円滑な無線局開設、運用に多大な貢献いただき深く感謝している。特に昨年11月末のCRのアナログからデジタルへの切り替えに当たっては、連絡協議会開催等多大なご尽力をいただいた。受川さんからRXの話があったが、総務省ではWX(ワイヤレストランスフォーメーション)推進アクションプランを定めて取り組みを進めている。そのための取り組みとして電波法放送法改正がある。主な内容として周波数オークションの導入による価格競争、無線局の免許状デジタル化、電波利用料の改正と使途がある。引き続き会員の協力を受けながら円滑な施行を進めたい。今後の動きとしては、2月に情報通信審議会で社会環境の変化に対応した電波有効利用の推進の在り方について諮問した。この審議会の下、電波有効利用委員会が設置され、2030年代を見据えた電波政策の方向性について議論が進められる予定。議論がまとまり次第、この夏以降に順次とりまとめる予定。無線を利用したビジネスの社会展開を円滑に進めるための方策や無線システムを安心して利用する環境確保のための対策の在り方について議論を進める。今後も電波の利用秩序の維持発展に協力されていることにあらためて感謝すると共に電波利用の拡大と協会の発展を祈念したい」と祝辞を述べた。
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