
生成AI個人利用率21・8% ММ総研が利用状況調査を公表、市場規模は成長予測
ICT市場調査コンサルティングのMM総研(MMRI、東京都港区、関口和一所長)はこのほど、生成AI(人工知能)の認知度や利用経験について実施した個人向けWebアンケート調査の結果を発表した。
生成AIの認知度は80・4%で、うち生成AIの利用経験者は21・8%。昨年実施した前回調査からそれぞれ認知度は5・0ポイント、利用経験者9・3ポイント上昇した。
調査は2025年8月、15~69歳の男女を対象にWebアンケート方式で実施。回答件数はプレ調査20234人、本調査は3013人だった。
今回の調査で、生成AIの認知度を聞いた結果は「利用したことがある」(21・8%)、「興味はあるが利用したことがない」(19・4%)、「聞いたことがある程度」(39・2%)、「知らない・わからない」(19・6%)となった。生成AIの認知度は80・4%と8割を超え、生成AIの利用経験者は21・8%となり、前回調査(2024年8月)に比べ9・3ポイント増加した。
生成AIを利用したことがあるとした回答者(生成AI利用経験者)に利用用途について聞いた結果、最も多かったのは「検索機能」で52・8%。次いで「文章の作成・編集・要約/議事録作成」(45・1%)、「会話(メッセージ)」(27・5%)、「画像生成・編集」(24・0%)となった。検索する際に検索ブラウザーを利用するのではなく、生成AIを利用することが増えてきていると分析。生成AIを利用する端末は「自身のスマートフォン」が58・0%で最も多く、スマートフォンで気軽に生成AIを利用していることがうかがえる。
生成AIに利用した生成AIサービス(個人向け)で最も多かったのは米OpenAI「ChatGPT」で(65・7%)。次いで米グーグル「Gemini」(40・0%)、米マイクロソフト「Copilot」(26・2%)、米 X.AI「Grok」( 9・5%)、 豪Canva「Canva」(4・9%)。「ChatGPT」「 Gemini」「 Grok」はプライベートでの利用が過半数を超えており、「Copilot」は仕事(学校)での利用が(22・4%)と他のサービスと比較すると高かった。また「Canva」のような画像や音楽、映像のようなクリエーティブな活動に利用されるサービスも仕事(学校)での利用が高い傾向にあった。
利用頻度は、「毎日」が27・8%、「週に1回」が36・1%で、週に1回以上の利用が63・9%と過半数を占めた。利用用途は、「検索機能」の利用が最も多かったことから、日常的に検索に生成AIを用いる人が増えていることが推察できる。
サービス別の利用料金の有無について、ひとつでも有料サービスを利用していると回答した人は13・8%で、無料サービスに限定して利用している人が大多数であることが判明した。
生成AIを利用するメリットで最も多かったのは「作業の効率化」で51・7%。課題では「情報が正しいか検証が必要」が53・4%と最も多かった。
MM総研が生成AIサービスの個人利用者(個人事業主や事業に利用するが個人で支払いをしている人を含む)の市場規模分析によると、有料・無料を問わない2025年8月時点の利用者数は1597万人、2024年度の市場規模は1679億円と試算。金額規模は年平均22・3%で成長し、2030年度には5618億円になると予測した。
主な要因としては、①今後は無料サービスの提供が終了もしくは限定的となっていく可能性がある②有料サービスは「検索機能」中心から「通訳・翻訳」「言語学習」「画像生成・編集」といった学習・クリエーティブ利用が拡大していく―の2点を挙げた。
生成AIの利用経験者を年代別にみると、10代が41・3%と最多で、次いで20代、30代と続き、年代が若いほど生成AIを利用する割合が高い結果となった。利用用途としては「検索機能」が最も多く、生成AIを利用するメリットとしても「作業の効率化」「時間の節約」「自身のスキル・知識が広がる」「言語・専門知識の壁を越えた情報収集」が上位に挙がっているように、情報検索の分野での利用が広がっている。
現在利用していないが、今後利用してみたいと思う用途では「通訳・翻訳」や「言語学習」が上位に入り、生成AIサービスが多言語対応している強みが出ているといえる。
利用者が増加傾向にある生成AIはメリットが多い半面、情報の正確性や著作権・プライバシー侵害のリスクといった課題も指摘されている。生成AIに限ったことではないが、知り得た情報が正しいかどうかを判断する利用者のリテラシーと社会全体としての集合知の醸成が求められる。
MMRIの担当者は電波タイムズの取材に対し、「現状は検索を中心に無料のお試しとして使われていることが多いが、今後は文章や画像などよりクリエイティブなサービスが広がり、有料サービスの裾野も広がっていくとみられる」と話していた。
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