CEATEC AWARD 2025受賞発表各大臣賞にシャープとドコモ、村田製作所、CEATEC 会場で展示

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2025年10月8日

　一般社団法人電子情報技術産業協会（JEITA代表理事／会長：漆間啓・三菱電機代表執行役執行役社長CEO）は7日、「CEATEC 2025（シーテック 2025）」で展示される技術・製品・サービス等を対象とした「CEATEC AWARD 2025」の総務大臣賞、経済産業大臣賞、デジタル大臣賞ならびに新設のモビリティ賞を含む部門賞を発表した。各受賞作品は10月14日（火）～17日（金） 10：00～17：00に幕張メッセで開催されるCEATEC 2025の展示会場の各社ブースで展示される予定。
　同賞は、Society 5・0の実現を目指し、新たな価値と市場の創造・発展に貢献、関係する産業の活性化に寄与する優れたプロジェクト、技術、製品、サービス、またはそれを支えるソフトウェア、アプリケーション、コンポーネント、デバイス等を表彰するもので、CEATEC AWARD 審査委員会による厳正な審査により選出された。
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　今後のデジタル社会の進展に最も寄与するものを評価する総務大臣賞には、シャープ（展示ブース：General Exhibits 3H223）の「電子制御式フェーズドアレイアンテナ搭載小型・軽量LEO衛星向けユーザー端末試作機」が選ばれた。同製品は、スマートフォンの設計で培った小型・軽量化技術や通信技術を活用し、建機・農機／船舶／車／ドローンなど、様々な用途へ応用可能な、電子制御式フェーズドアレイアンテナ搭載小型・軽量LEO（Low Earth Orbit低軌道）衛星向けユーザー端末試作機。LEO衛星通信は、セルラー通信が困難な場所でも高品質な通信を可能とし、海上や山地、被災地などでの通信手段としても有用性が注目されている。
　選評では、「既存のLEO通信端末と比較して大幅な小型、軽量化を実現した。衛星はもちろん、HAPS（High Altitude Platform Station）やドローン、航空機など小型軽量で省電力な端末のニーズは高い。5G NTN（Non―Terrestrial Network）にも対応し、今後の社会インフラを支える技術として高く評価され、次世代通信規格において日本の存在感を示せる将来性に大きな期待が寄せられた」とされた。
　同社通信事業本部次世代通信事業統轄部長の今村公彦氏は、「今後はHAPSの上に載せて衛星と通信するアイデアも進めていきたい」と話していた。
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　革新的なものづくりを評価する経済産業大臣賞には、NTTドコモ（展示ブース：General Exhibits 1H007）の「〝痛み〟の共有による相互理解の深化を実現するプラットフォーム」が選ばれた。同技術は、言語化が難しい要素の一つである〝痛み〟を他人と共有することを可能にした世界初の基盤技術。人が感じる身体的・心理的な痛みを他者に伝えるのは難しく、これまでは個人の主観に基づく推測に頼らざるを得ない場面も多く、客観的な理解が困難とされてきたが、同技術により、相手の痛みを自分ごととして体感・理解でき、医療におけるコミュニケーションの質の向上やカスタマーハラスメント・SNSなどの誹謗中傷の対策などに貢献する。
　選評によると、「現時点では外的なものに限定されるが、将来的には内面的・心理的な痛みの検知、嗅覚や味覚の刺激への応用も目指している。『人間拡張基盤』という蓄積されたデータをもとに共有元と共有先の個人差を比較・評価し、共有先にとって最適化された形で感覚や動きを共有するオリジナル技術や、そのプラットフォーム化が評価された。身体的痛みに対する治療に限らず、カスタマーハラスメントや誹謗中傷等による心理的ダメージの検知・評価、スポーツ分野でのトレーニング最適化やエンターテインメント分野での応用など、可視化されにくい領域での幅広い用途も見込め、社会的なインパクトやユニークな着眼点、共創の可能性といった将来の活用性に大きな期待が寄せられた」としている。
　NTTドコモモバイルイノベーションテック部長の吉田直政氏は、「まず医療業界で適切に症状を伝えるといった活用や、ほかにも例えばボクシングのパンチの痛みやゲームなどエンタメでの展開も想定している」と話した。
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　デジタル社会での豊かな暮らしと社会づくりへの寄与を評価するデジタル大臣賞は、村田製作所（展示ブース：General Exhibits 2H325）の「AI 時代の信頼できる音声入力を実現するマスク装着型デバイス mask voice clip 」が受賞した。大規模言語モデル（LLM）の進化により、自然言語での操作や記録・入力業務を行う未来が現実味を帯びる中、このデバイスはその前提となる「信頼できる音声入力」を構造面から実現。マスク表面の微細な振動を圧電フィルムセンサで検出することで、騒音下や複数話者が同時に発話する環境でも、話者本人の音声のみをリアルタイムかつ高精度に抽出することが可能。医療・製造・保守点検など、多様な現場でのAI活用を後押しする技術という。
　選評では、「騒音環境下で音声認識の向上など、話者の声だけを認識することにより既存のノイズキャンセル技術を上まわる音声入力の向上が期待できる。製造業や病院といった、騒音環境下やマスク着用が必要な状況での音声入力の次世代インタフェースとして、その活用性が大きく評価された。これまではマスク着用時の発話、音声認識において課題があったが、本デバイスによりマスク着用がネガティブ要素にならないほか、マスクデバイス以外でのソリューションやサイレントスピーチへの応用など、将来的な可能性にも期待が寄せられた」とされた。
　村田製作所技術・事業開発本部技術イノベーション戦略部生体エレクトロニクス備えプロジェクト課マネージャーの森田暢謙氏は、「スマホの次のインターフェイスに着目して開発した。公の場でプライベートな話ができない、会議で雑音が入るといった課題に向けてひそひそ声も音声データに認識できるサイレントスピーチと呼ばれる技術の開発を進めている」と話していた。
　CEATECエグゼクティブプロデューサーの鹿野清氏は出展作品を振り返り、「この2、3年で顕著だったのはAI。これまでは製造現場や工場等が多かったが、AIエージェントの出現により一般でも使えるようになったのが印象深い。技術そのものからエージェントを通じてどう使いこなすか。またデバイスにもユニークなものが多かった」と総括した。
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　このほか各部門賞は次の通り。（グローバル部門賞は会期中に発表予定）
　【イノベーション部門賞】
　▽「様々な素材をタッチパネルやスイッチに変えるセンサー / ZINNSIA（ジンシア）」株式会社ジャパンディスプレイ（General Exhibits｜ブース番号：2H202）▽「多言語同時通訳とマルチスポット再生技術」国立研究開発法人情報通信研究機構（NICT）（ General Exhibits｜ブース番号：1H009）▽「エッジ向けアナログリザバーAIチップを用いたリアルタイム学習機能付きセンサ
システム」TDK株式会社（General Exhibits｜ブース番号：6H180）▽次世代AIエージェント「Frontline Coordinator – Naivy」株式会社日立製作所（General Exhibits｜ブース番号：5H220）▽「AI の進化に貢献する、環境配慮型チップオンウエハダイレクト接合技術の開発」ヤマハロボティクス株式会社／産業技術総合研究所／東京理科大学（General Exhibits｜ブース番号：4H220）▽「入浴中の心拍センシング」リンナイ株式会社（General Exhibits｜ブース番号：1H318)
　【ネクストジェネレーション賞】
　▽「触れて感じる、次世代の4D映像体験」TouchStar（東北大学事業化プロジェクト）（ネクストジェネレーションパーク｜ブース番号：5H322）▽「リアラボAI ― 探索からラボ実験まで、研究の現場を動かす自律型AIエージェ
ント」ロート製薬株式会社／株式会社フツパー（ネクストジェネレーションパーク｜ブース番号：6H150）
　【コ・クリエイション（共創）部門賞】
　▽「ビューティ&ヘルスケアを変革する、産業を越えた共創 ― RNAで繋がる花王・アイスタイル・キリンによる未来創出 ―」
RNA共創コンソーシアム（パートナーズ&グローバルパーク｜ブース番号：4H213）
　【モビリティ部門賞：新設】
　▽「フィーリング」Humonii（ジャパンモビリティショー 2025 スタートアップ出展者）

この記事を書いた記者

kobayashi: 主に行政と情報、通信関連の記事を担当しています。B級ホラーマニア。甘い物と辛い物が好き。あと酸っぱい物と塩辛い物も好きです。たまに苦い物も好みます。

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