自動運転向け〝通信安定化ソリューション〟を提供開始
NTTドコモビジネス(旧 NTTコミュニケーションズ、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:小島克重)と、NTT(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田明)は、自動運転車両など移動しながら安定した通信を必要とするモビリティ向けの通信安定化ソリューションの技術実証の成果を受け、自動運転の実証実験や社会実装をめざす利用客向けに同ソリューションの提供を10月8日から開始したと発表した。
昨今、地域の公共交通において運行業務の担い手不足が深刻化しており、その対策として自動運転レベル4の社会実装に向けた取り組みが全国で加速している。
NTTドコモビジネスとNTTはこれまでに全国で自動運転の実証実験に参画し、自動運転レベル4の社会実装に必要である遠隔監視での通信の安定化に取り組んできた。
自動運転向け通信では、基地局の切り替えやエリアの干渉によって無線品質が一時的に不安定になり、遠隔監視の映像が途切れるなど、走行の安全性に影響をおよぼすリスクが顕在化している。また、これまで通信品質の安定化を実現するために必要な複数の技術が個別に提供されていたことから、導入時のリードタイムが課題となっていた。
同ソリューションでは、自動運転車両と遠隔監視システム間を複数回線でのマルチパス接続を行うとともに、無線品質の変化を先回りで予測し、マルチパスを制御することで遠隔監視の映像が途切れるリスクを抑制した信頼性の高い通信環境を提供する。
また、データ連携システムを用いることで、走行データや車載センサーの検知情報、AI画像解析の結果などの複数データをリアルタイムに遠隔監視システムへ連携することが可能となる。
これらの技術を組み合わせてパッケージ化することで、自動運転の社会実装をめざす自治体などで、導入時のリードタイム短縮を図り、より容易に最先端の通信技術を利用することができる。
具体的には、以下の3点の技術をパッケージ化したソリューションを提供する。
①無線品質予測:公衆ネットワーク、ローカル5G、Wi―Fi等、無線の種類ごとに機械学習に基づき、無線の品質を予測(IOWN技術のCradioを活用)
②マルチパス通信制御:無線品質予測や通信状況に応じ、複数回線によるマルチパスを制御し、高い接続性を実現(IOWN技術の協調型インフラ基盤を活用)
③リアルタイムでのデータ伝送:車両等のデバイスで収集したカメラ映像やセンサデータ、通信状況情報を集約し、複数のデータをリアルタイムで遠隔監視システムに連携(intdashを活用))
同ソリューションを活用することで、通信状況を可視化しつつ通信の安定性を向上させ、安定した伝送が可能となる。
実証では、自動運転の遅延の目安水準400ms以下の割合が95%に対し、本技術を適用しない場合は1回線目が92%・2回線目が53%にとどまるが、本技術を適用した場合は99%と目安水準を満たすことを確認した。
各社の役割は、NTTドコモビジネスが本ソリューションの提供(intdashと連携した活用提案、環境構築・推進)、NTTが協調型インフラ基盤、Cradioに係る研究開発。
同社では、ソリューションを用いて通信を安定化することにより、自動運転における安定した遠隔監視を実現し、地域の交通課題の解決に貢献。また、自動運転の社会実装の推進を図るだけでなく、建設機械やロボットなど、移動しながら通信を必要とする他のユースケースでの活用にも取り組むことで、建設現場、工場、倉庫などにおける遠隔操作や自動化を実現し、人手不足や作業の安全性確保などの課題解決に貢献していくとしている。
この記事を書いた記者
- 主に行政と情報、通信関連の記事を担当しています。B級ホラーマニア。甘い物と辛い物が好き。あと酸っぱい物と塩辛い物も好きです。たまに苦い物も好みます。
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