富士通など、低電力エッジコンピューティング技術
富士通と山口大学は、マイクロ波を地表に照射して反射波を受信し、洋上の風速の分布などを二次元画像化する低軌道合成開口レーダー(SAR)衛星向けに、冗長構成GPUにより、衛星上で10分以内(準リアルタイム)画像処理を実現する低電力エッジコンピューティング技術を開発したと発表した。
本技術は、宇宙放射線などによる誤作動への高い耐性をもち、衛星の限られた電力で動作可能なコンピュータシステムと、対応するプログラミング環境からなる。このコンピュータシステムは、小型衛星でコン ピュータシステムに供給できる電力の目安とされている20W程度で動作し、宇宙放射線による誤作動の検出と処理のやり直しも含めて、次の衛星が巡回するまでの10分程度でデータ処理を行うことができる。SAR衛星の搭載センサーにより得られた生データを用いて本技術の検証を行い、ピントの合っていない生データからAIモデルを用いて洋上の風速の分布を算出する演算量の多い処理を、衛星を模したプロトタイプ上で行うことに成功した。本技術は、データ処理に必要な演算量の多いSAR衛星を含め、光学衛星やマルチ・ハイパースペクトル衛星などへも応用が可能だ。富士通は、開発したプログラミング環境をライブラリ「Fujitsu Research SOft error Radiation Armor」(FRSORA)として2026年2月に公開予定。
両者は今後、取得データに対する補正の高精度化の研究を進める。富士通は、人工衛星上で準リアルタイムにAI処理までを行い、高度な処理判断を伴う即時性の高い様々なサービスや運用の高度化を目指す。
この記事を書いた記者
- 元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。
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