総務大臣賞にガンズコーポレーション  MCPCaward

 MCPC(モバイルコンピューティング推進コンソーシアム、安田靖彦会長)は11月26日(水)、東京都港区の東京プリンスホテルで「MCPC award 2025」の表彰式を2年ぶりに開き、各受賞者を表彰した。グランプリに当たるユーザー部門の総務大臣賞には、株式会社ガンズコーポレーション(東京都江戸川区)の「外国人労働者の即戦力を加速するGenba DXカメラプラットフォーム」が選ばれたほか、サービス&ソリューション部門の最優秀賞には、NTTドコモビジネス株式会社(東京都千代田区)の「映像分散管理プラットフォーム『モビスキャ』」が選ばれた。
  MCPCは、業界の枠を越えてモバイルコンピューティング、IoT/M2Mシステムを普及促進することを目的に1997年に設立された任意団体。モバイルシステムの導入により IoT/AI 分野での「業務効率化」、「業績向上」、「顧客満足度向上」、「社会貢献の推進」、「先進的なモバイル活用」等の成果を上げた事例を顕彰し、モバイルソリューションやIoT/AIシステムの更なる普及促進を図ることを目的に、2003年から同アワードを開催し、優秀事例を表彰している。
 コロナ禍等の影響により2年ぶり22回目の開催となった今年は、10月24日の「MCPC award 2025二次審査委員会」でユーザー部門のグランプリ候補である、テクノロジー賞、ビジネス賞、パブリック賞、新設となるローカル5G賞、中小企業賞の中からグランプリを決定し、併せて特別賞の各賞も決定した。
 総務大臣賞を獲得したガンズコーポレーション社の「外国人労働者の即戦力を加速するGenba DXカメラプラットフォーム」は、Wi―Fi/LTE 通信機能付きヘルメットカメラを 現場作業員が装着し映像・音声・位置情報をリアルタイムでクラウドに送信。遠隔地から監督者が映像を見ながら指示・通話・記録・警告を実施。 AI翻訳機能により多言語対応で外国人作業員をサポートし、生産性と安全性を同時に向上させる「即効性」に特化したソリューション。
 受賞したガンズコーポレーションの田仲純一郎社長は、「プロジェクトは開発チームと現場の職人、関係者の支援で実現した。建設業界は人手不足や安全管理の課題が続いている。受賞は解決に向けた取り組みが評価された証であり励みとなる。今後も技術とサービス向上に努め建設現場に貢献したい」と話した。
 またサービス&ソリューション部門受賞最優秀賞を獲得したNTTドコモビジネスの「モビスキャ」は、市街地映像を効率的に活用する「映像分散管理プラットフォーム」で、タクシーやバス事業者等の車両へ搭載した通信型ドラレコの SD カード映像を利用、モビスキャを経由してデータを活用したい企業へ提供。「分散データ保存」など、11 の特許(25年8月時点)を駆使しサービス展開を行っている。 モビスキャの仕組みに、特許「多段 AI による工事判定」をプラスし、データ量を低減しつつ判定クオリティを担保した「AI道路工事検知ソリューション」を24年7月から提供開始。ガス導管パトロールの代替として、全国のガス事業者に提供している。
 NTTドコモビジネスプラットフォームサービス本部の三谷秀行担当課長は「抜きんでた特性という点で評価いただいた。モビスキャは映像の分散管理でデータを提供する側と要望する側がそろってビジネスが回る。賞を上手に利用して事業を大きくしていきたい」と話した。
 来賓を代表して総務省総合通信基盤局の湯本博信局長は「受賞された様々な取組はいずれもモバイルテクノロジーを効果的に活用して社会課題の解決や新たなビジネス領域の開拓、質の高いサービス提供等を実現する事例として評価された。総務大臣賞は外国人労働者との意思疎通の課題や口頭での作業指示の難しさを独自の工夫で見事に解決した。労働力不足に直面する我が国では外国人労働者は不可欠であり、モバイル技術による社会課題解決の好事例。新設のローカル5G賞の工場DXの活用事例は他分野でも参考になる。賞を機に今後活用の裾野が広がっていくことを期待する」と話していた。
 このほかの選定結果は次の通り。
 【ユーザー部門】
 ▽テクノロジー賞:株式会社NTTドコモ(東京都千代田区)、日本航空株式会社(東京都品川区)、株式会社ジャルカード(東京都品川区)「秘匿クロス統計システム」
 ▽ビジネス賞:株式会社ガンズコーポレーション「外国人労働者の即戦力を加速するGenba DXカメラプラットフォーム」
 ▽パブリック賞:大成建設株式会社(神奈川県横浜市)「電池レス・災害現場画像・取得システム」
 ▽ローカル5G賞(新設):リコーインダストリー株式会社 (宮城県柴田町)「工場DXの加速を実現!オールインワン・コア一体型ローカル5Gシステム『HYPERNOVA』」
 ▽中小企業賞:株式会社南紀白浜エアポート(和歌山県白浜町)「空港主導の観光×交通の高度化を実現するAIオンデマンド交通」
 ▽セキュリティ委員会特別賞:NTTドコモ、日本航空、ジャルカード「秘匿クロス統計システム」
 ▽アカデミー特別賞:鳥羽商船高等専門学校(三重県鳥羽市)「ブルーカーボン貯留量の自動計測システム」
 ▽奨励賞:群馬県長野原町「LGPF(Local Government Platform)」、東芝テック株式会社(東京都品川区) 「AI・メタバースを活用したバーチャル接客による顧客エンゲージメント向上への取組み」
 【サービス&ソリューション部門】
 ▽優秀賞:株式会社NTTドコモ(東京都千代田区)「HealthTech基盤(ヘルスケアAI)」、東芝テック株式会社(静岡県三島市)「AI×RFIDソリューション」、KDDI株式会社(東京都港区)「au Starlink Direct」、NTTドコモビジネス「映像分散管理プラットフォーム『モビスキャ』」
 ▽ビジネスDX委員会特別賞:ラトックシステム株式会社(大阪市西区)「もろみ日誌クラウド」
 ▽AI&ロボット委員会特別賞:Upside合同会社(東京都千代田区)「海のGIS『SeaUp+』を活用した漁業と地方自治体の協働モデル」
 ▽奨励賞:株式会社ドラEVER(東京都港区)「運SOUL(ウンソウル)」、株式会社マグナ・ワイヤレス(東京都八王子市)「ジッタレス通信による無線バリアフリー工場の実現」、株式会社ニフコ(神奈川県横須賀市)「電池レスを活用した熱中症予防対策システム」

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kobayashi
主に行政と情報、通信関連の記事を担当しています。B級ホラーマニア。甘い物と辛い物が好き。あと酸っぱい物と塩辛い物も好きです。たまに苦い物も好みます。