【InterBEE報告】ミハル通信 「ELL 超低遅延音声伝送システム」

 ミハル通信は、「Inter BEE2022」に出展し、世界最高水準の極超低遅延8K映像伝送システム「ELL8K」のデモ展示を行った。ブース内にて8Kカメラで撮影した鉄道ジオラマの映像の伝送前、伝送後をそれぞれ8Kテレビに映し、極超低遅延をブース内にて体感してもらった。また、放送局向けのソリューションとして、中継局へのマイクロ回線伝送のバックアップとして使用できる、緊急回線バックアップ装置も展示した。 8K極超低遅延映像圧縮伝送システム「ELL8Kシステム」は同社製エンコーダーとデコーダー間のコーデック遅延を30ms以下(同社計測器にて測定)に抑えることが実現可能な世界最高水準の超低遅延エンコーダー/デコーダー。同社では2018年より同エンコーダーの開発に着手し、様々な実証実験に参加してその性能が高く評価された。 一方で、「8K画質はよいのだが、導入するには数秒の遅延時間が長い」という問題に直面。この問題を解決するのが、同社が開発した「ELL8K」だ。 「ELL」極超低遅延エンコーダー/デコーダーの特長は①コーデック遅延30ms以下②非圧縮PCMオーディオを最大64ch伝送可能③複数拠点向けにマルチキャスト配信が可能。 ELL以外のカメラや8Kテレビについても遅延が少ないものを厳選しており、システム全体での低遅延化を実現した。また、現在開発中の「ELL Lite 2K/4K」のモックアップ展示もおこなった。 「ELL Lite 2K/4K」(参考展示)と同機器を使った初披露の「ELL 超低遅延音声伝送システム」のデモ展示が注目を集めた(協力:輝日)。世界最高水準の極超低遅延映像伝送システムのELLシリーズは、音声も低遅延で伝送することが可能だ。今回のInter BEE 2022では実際にマイクとヘッドフォンを使用して音声の低遅延を体感してもらえるデモンストレーションを行った。幕張と大阪間をNGN網を使ってVPNルーターで接続。幕張での音声を遠隔地大阪のVPNルーターまで飛ばす。その信号をVPNルーターで折り返して、幕張まで戻し音の遅延を聴いてみるもの。極超低遅延音声伝送を体感でき、音声の遅延がわずか20ms以下を実現した。ELLが実現するテクノロジーによって、ライブ会場間での「コール&レスポンス」や、遠隔地に住んでいる人同士の同時セッションなど様々な可能性が広がるとしている。    ◇ 放送局向け緊急回線バックアップ装置では、放送TSを伝送しているマイクロ中継回線のバックアップとしてIP回線を用いた伝送が可能な緊急回線バックアップ装置を展示した。IP送信機とIP受信機で構成され、IP受信機には放送TSインターフェースに加え、IF出力(37・15MHz)や放送波出力(CH.13~CH.52)も備えており、モニター端子として使用できる。また、IP受信機には放送TS入力端子も備えており、単独で簡易変調器としても使用できる。 特長は次の通り。①1PPS信号、もしくはGPSに同期に同期したタイムサーバーとPTP同期することにより、SFNの構築が可能②受信機はOFDM変調出力(IFおよびRF)に加え、放送TS出力、10MsCLS出力、IFFT CLK出力、F―Sync出力を備えており、既設送信設備と接続が可能③電源はAC100V入力とDC48V入力が冗長構成となっており、片方の電源が停止した際も継続動作が可能。