【防災特集】建設技術研究所

総合建設コンサルタント会社の建設技術研究所(東京都中央区、中村哲己社長)は、大河川の氾濫原において中小河川、下水道も含めた実現象に近い浸水リスクを表現できる内外水同時氾濫解析モデルを開発し、これを活用したサービスを開始した。開発したモデルは、内外水の同時・連続的な浸水リスクを精度よく予測可能であり、効果的・効率的な浸水対策、安全で確実な避難を行うための有効な情報を提供する。建設技術研究所理事東京本社次長の永矢貴之氏と東京本社水理センター次長の川村育男氏に「内外水同時氾濫解析モデル」の開発経緯やサービス概要などを聞いた。――「内外水同時氾濫解析モデル」の開発経緯を教えてください。 川村 当社ではもともと河川、下水道それぞれの部署で解析モデルをつくっていました。主な発注者をみると河川管理者は国や県、下水道管理者は市町村と分かれており、これらを統合する必要性は前々から感じていました。契機となったのは、平成26年9月に札幌市などで起こった豪雨災害でした。11日には石狩地方、空知地方、胆振地方に「大雨特別警報(土砂災害、浸水害)」が発表されました。それは道内で初めての大雨特別警報の発表でした。この平成26年9月豪雨により、時に札幌市東部区域では内水氾濫等による浸水被害が生じました。私は当時、北海道支社で「内外水同時氾濫解析モデル」のプログラム開発に関わっていました。平成26年9月豪雨が起こって河川管理者である国や道、下水道管理者である市が一体となって、浸水予測の仕組みをしっかり構築しようという機運が高まりました。そこで、私どもは「内外水同時氾濫解析モデル」を提案し、取り上げていただいたことが契機となり、開発が進みました。(全文は3月10日付け4面に掲載)