ASUS COMPUTEXプレスブリーフィング
ASUSは「COMPUTEX2024」に併せて世界各国からプレスを招いたプレスツアーを実施。ブースだけでなく、本社施設の見学やブリーフィングなど盛沢山の内容だった。
今回はプレスブリーフィングを中心に、同日別途実施されたエグゼクティブンインタビューの内容も織り交ぜて紹介する。
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「Start with People(すべては人から始まる)」
ブリーフィングでは、Alvin Chen(アルヴィン・チェン)氏/ASUS Japan 代表取締役社長がASUSおよびAI PCについてプレゼンし、David Chu(デイビッド・チュー)氏/ASUS Japanシステムビジネスグループ コンシューマービジネス事業部 統括部長が新製品の戦略などを説明した。
チェン氏は、まずASUSは「Start with People(すべては人から始まる)」を企業理念にしており、製品開発もこの理念の元、行っている。また、日本でも業界初となる製品を多く発表してきた。例えば、Windowsベースの携帯型ゲームPC「ROG Ally」、「Chromebook Plus」、脱着式ゲーミングPC、3月に発表した2つのディスプレイを持つノートPCなどだ。
今回のCOMPUTEX2024に併せ、ASUSでは多数のAI搭載製品をリリースした。全社をあげてAI化に取り組んでいるように見える。
AIについては、チェン氏は、PCメーカーにとって大きなトピックだとした。ただし、AIとハードウェアの統合はまだ初期段階だとし、日本のチャネルパートナーとも協力しながら開発を進めていきたいとした。ユーザーが求める機能・好みなどは急速に多様化しており、それに対応して製品も変化させていく必要があるという。
今後AIは様々なOSとの連携・統合が進んでいく。しかし、PCは基本的には生産性を向上させるツールであり、スマートフォンを含むハンドヘルド製品はコミュニケーションツールである。これは今も変わってはいない。このため、AI化は進んでいくが、PCとハンドヘルドではシナリオは異なると強調した。
理由として、PCは今も文字やデータの入力、加工、編集などで使用されている。一方、スマートフォンに代表されるハンドヘルドデバイスは、話すことや写真を撮ることなどに使用されている。このように基本的な棲み分けができている。
スマートフォンの多機能化は進んでおり、特にコロナ後はそれが加速しているが、使用目的は変わっていない。一方、タブレットにキーボードを装着したり、スタイラスペンを用いたり、むしろノートPCにタブレットを近づけようとする動きがある。AIは、文字やデータだけでなく、カメラを通じて入力できるようになるなど、よりスマートにサポートする役割を果たす。ただし、PCとハンドヘルドの基本的な役割は変わらないという。
インテルとマイクロソフトが共同策定した「AI PC」の定義は、「CPU、GPUに加え、AI処理に特化したNPU (Neural Processing Unit)を搭載し、CopilotとCopilotキーが実装されているもの」とした。チェン氏は現在のAI PCはCPU・GPU・NPUの構成になっているが、この先はどうなるか流動的とした。1チップ化が進むかもしれないが、NPUに変わる別のチップが登場するかもしれないという。いずれにしても、AI PCは初期段階であり、今後大きく変化していくだろうとした。
「AIはどんな利益をもたらすのか」
最期にチェン氏は「色々な人に聞かれますが、AIは自分にどんな利益をもたらすのか、コンシューマーのユーザーにどのようなベネフィットあるのかということです。
PCは生産性を目的としているので、やはり生産性を高めていくためのツールとして使われていきます。エンターテイメントを楽しみたいならタブレットで十分かもしれなせん。
AIはアプリケーションをもっと簡単に使えるようにするかもしれませんが、実際には仕組みだったり、どんなことできるかを勉強していかなければなりません。様々なサービスは基本的にはX86ベースで作られているので、それをこれからAIが勉強して進化させていかないといけません。
AIの活用とどんな利益があるかについては、注意深く見つめていく必要があります」と語った。
この他、コロナが業界に与えた影響については、「コロナの前、私が本社と会議をするときはIP電話を使用していました。画面共有することはできませんでしたので、例えば同じパワーポイントを見て作業したいときは、『xxページを見てください』と口頭で補足する必要がありました。PCは情報のインプットにタイピングを使用していましたが、現在はTeamsやGoogle Meetの活用により、カメラとマイクを使って情報をインプットすることができるようになりました。また、オンライン会議に出ながら同時にメールを書いたりすることもできるようになりました。つまり、マルチタスクが可能になり、PCがさらにパワフルなものとなりました。
また、タブレットを用いて会議に参加をしても、チャットボックスに何かを入力したいときスタイラスペンやキーボードが必要です。そのため、多くのタブレットユーザーはキーボードを外付けします。リモートワークをしているか出社しているかに関わらず、キーボードが必要になるのです。ASUSはゲーミングPCでもデタッチャブルキーボードの製品を発売しており、キーボードがないと仕事を終わらせることが難しくなります。キーボードとモニターが同時に必要になるという点がコロナによる大きな変化の一つだと考えています」と述べている。
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続いてチュー氏が今年度戦略について説明。2024年にはいくつかの主要な成長分野に注力する予定です。まずAI PCでは40TOPS以上のデバイスの導入が予定されており、多くのデバイスをユーザーに届ける。また、クリエイターへのアプローチを強化していく。Win PCはクリエイターに十分に受け入れられているとは言えないのが実情だ。ASUSのAI PCを使用することで、効率の良いコンテンツ制作を実現できるという。
ASUSでは、4つの柱で差別化を図っていく。1つ目が市場との相乗効果。幅広いラインナップにより、ゲーマーやクリエイター、日常生活ユーザーに至るまでの多様なニーズ対応する製品を先駆けて提供する。
2つ目はAIファースト。より多くの製品にAIを取り入れることで、ユーザーエクスペリエンスを向上させるという。
3つ目はGeniusで、ASUSの製品力を指す。製品開発やパフォーマンスに加え、エコシステムも含めたトータルな製品力で業界をリードする。
4つ目はライフストリーで、各ブランドにおいて様々なユーザーシナリオを用意しており、自分にあわせて自由に選択できる。
最期に今回発表された新製品について説明した。このうち、「Vivobook S16/S14」について、価格は20万円台前半を想定していることを明らかにした。
この記事を書いた記者
- 放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。
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