Inter BEE、モザイク・ぼかし処理ツールが多数出展
11月15日に閉会したInter BEE 2024。様々な製品・技術・ソリューションが展示されていたが、特に目を引いたのがモザイク/ぼかし処理に関する技術や製品だった。
近年では、プライバシーや個人情報保護の重要性の高まりから、映像に対するモザイク・ぼかし処理のニーズが急速に高まっている。
以前は特定の人物などにしか適用されなかったモザイク・ぼかし処理が、現在では群衆や他ビルなど建物、車のナンバープレート、さらには看板や自動販売機などにもモザイク・ぼかし処理がかけられるケースが増えている。
モザイク・ぼかし処理で先陣を切ったのは日本テレビ放送網の自動モザイク入れAIソフトウェア「BlurOn(読み:ブラーオン)」。自動検出可能な対象は顔、頭部、全身、ナンバープレート。Adobe After Effectsのプラグインとして利用できるため、別ソフトの立ち上げなどは不要。クラウドで検出処理を実施するため、必要最低限のPCスペックで動作可能。価格は導入携帯により異なる。
Syncが販売する「MetaVu」もすでに様々なところで導入されている。MetaVuの特徴はスタンドアローンタイプのソフトで、特定の編集ソフトなど向けのプラグインではないこと。また、ソフトの中に全ての機能が集約されているためローカル処理が可能で、インターネットが使えない環境でも作業することができる。性能は素材内容により異なるがAIでの自動検出時に80%以上の処理を達成している。独自ツールでマスク・モザイク作業の簡易化した他、直感的なUIで操作が簡単という。フジテレビやテレビ朝日などが採用している。
システム計画研究所は、EDIUS プラグイン「Smart MP(スマート エムピー)」になんでもモザイク機能を追加した。同社が独自開発した少量の学習画像で優秀な AI を開発できるエンジンを採用。例えば、ポスターが映ったシーンの画像を数枚学習すると、ユーザー専用のポスターモザイク用 AI モデルを開発することができる。この機能により、従来のSmart MP では未対応であった看板、ポスター、名札、製品ロゴなどに対する自動モザイクが可能になる。
新たにモザイク・ぼかし処理市場に参入したのはNHKテクノロジーズ。Web動画用のモザイク・ぼかし処理ツールを放送用にチューニングしている。AIを活用し4種類(顔、背景、車ナンバー、画面内特定オブジェクト)のぼかし加工を自動化し、追従も可能。範囲の指定も厳密にする必要はなく、かなりラフに指定しても目的のオブジェクトなどがきちんと指定される。また、複数人の同時ぼかし処理も可能。編集ソフトとは独立したソフトであり、一般的なノートPCでもさくさく動作するという。
前述の企業とは別のアプローチでモザイク・ぼかし処理を行うのが、インテリジェントウエィブのリアルタイムデータ分析ソリューション「AIMD」。AIMD(エイムド ―Analyze Intelligence in Media Data)は映像・音声データ、テキストデータ等をAll in Oneでリアルタイムに複合分析を実現する。入力データからユーザーが設定した分析等の処理をリアルタイムに実行し、分析結果を基に様々なアウトプットを生成する。中継場所で直接映像編集、もしくは制作支援機能として自動モザイク、背景切り抜き機能を提供する予定。統合された環境で処理を行うので、操作も容易で、データを移動する手間も省くことができる。
(全文は11月25日号3面に掲載)
トップ画像は日本テレビ放送網の「BlurOn」
この記事を書いた記者
- 放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。
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