朋栄内覧会レポート 直感的オンデバイスAIソリューション~FOR―A IMPULSEやHi-RDS(階層型RDS)など

 朋栄(東京都渋谷区、清原克明社長)は、2025年6月19日(木)・20日(金)の2日間、東京・恵比寿の
本社にて「FOR―A CONNECT 2025 内覧会」を開催した。その中からいくつか注目製品を紹介する。
 直感的オンデバイスAIソリューション「viztrick AiDi」を展示した。AIを用いた映像や音声のコンテンツ解析をリアルタイムに行えるシステムで、タブレットにペンでタッチすることにより、様々なことができ、例えばサッカーの場合、プレイヤー間の距離、プレイヤーの距離などを表示することができる。編集時にこれらを付加することは当然できるが、リアルタイムでできるので、生中継の場合、リプレイ時に付加して放送することができる。
 最大の特徴はノートPC1台で運用でき、インターネットも不要な点にある。現場によっては、インターネットの接続が難しい場所もある。インターネットが前提となる場合、①インターネットで映像等をアップする(オンプレやクラウド)②オンプレやクラウドでの処理③処理した映像をインターネットで現場に送る、という工程が必要となり遅延が生じるが、同システムでは問題ない。
 この他、面白い使い方として自動スコアーグラフィックがある。スコアボードの映像をviztrick AiDiに入れることにより、自動的にCG(スコアやボール・ストライク・アウト)を作成する。現状、ボール・ストライク・アウト(BSO)を表示するだけで、一人が張り付いて行っており、かなりの負担となっている。ただし、球場によって構造が異なるため、最初に設定する必要がある。
 また、今年のMLB(メジャーリーグベースボール)の日本での試合でも使用された。MLBの場合、ピッチクロック(投手が打者に投球するまでに使える時間を制限する仕組み)が導入されているが、日本では対応していない。MLBから時間情報をインターネット経由がもらうことはできたが、回線の状態により、どうしても不均一な表示になったため、同システムでの画像認識で表示することにした。
 サッカーや野球だけでなく他の競技に適用可能例えばラグビーのワールドカップの場合、各国のスター選手であっても、日本人からすると判別は難しいが、viztrick Ai Diの方が圧倒的に正確に早く判定できる。
 この他、ゴルフにトラッキングも用途の一つ。同様のシステムはすでに存在するが、複数のセンサを使用し、非常に高価だ。viztrick AiDiでは、小さいセンサを1個置くだけで正確にトラッキングできるため、安価にシステムを構築できる。
 


 「FOR―A IMPULSE」は、幅広い朋栄製品の機能をソフトウェア化して共有プラットフォームに集約し、柔軟なシステム構築と運用を実現するソフトウェアベースの機能統合型ライブ制作ソリューション。
 ソフトウェア化した機能はNodeと定義され、これらのNodeを繋ぎ合わせることで、処理パイプラインを構築し、柔軟かつ自由度の高いシステム構築と運用を実現する。導入時は必要最低限のNodeで構築し、拡張が必要になった際には期間限定でNodeを追加、不要になれば縮小するなど、スケーラビリティの高い運用が可能。その時々の運用や必要性に応じて機器/機能/人的リソースを効率的に活用できるため、手間と時間を削減し、高いコストパフォーマンスを実現する。また、バックアップやメンテナンスに必要な機材を一本化することで、技術者の負担軽減にも貢献する。
 また、操作については、PC上ではなく、ハードウェアで操作したいという要望があるので、それ応じてハードウェアパネルも用意している。ほとんどの製品がIMPULSE対応になっており、非対応製品も対応化を進めていく。他社製品については現在予定していないが、将来的には可能性はあるという。

 Hi―RDS (階層型RDS)は、NMOS RDSソフトウェア「SOM―200RDS」、RDSフィルタリングAPIオプション「SOM―20RDS Plus」を使用して、Hi―RDS(階層型RDS)環境を活用したリソースシェアのデモを行った。従来のシステムにHi―RDSをより視覚的に管理可能なRDSフィルタリングAPI管理ソフトウェア「SOM―20RDS MGR」が加わった。国内で2~3ヶ所から引き合いを受けており、今年度中に導入される方向で準備を進めている。