アストロデザイン 8K技術とWSを駆使してキズを検出~AIアシスト搭載アーカイブサーバーも

 アストロデザイン(東京都大田区、難波豊明社長)は 「PRIVATE SHOW 2025」を6月18日~20日(18日は招待者限定)に開催した。前回に続き注目製品をいくつか紹介する。
 SRT(Secure Relieable Transport)は受け取る側と送る側に独自のバッファーを設けており、バッファーサイズに関してはユーザー設定できる。バッファーは、パケロスが起きたときに、それを補完する役目を果たす。そのため、低遅延でパケロスに対しても耐性が強いことなどから、注目を浴びているIPのプロトコルだ。
 このSRTの伝送装置が「TR―5004」。現場から「映像信号」と「インカム」、「カメラ制御信号」の、SRTプロトコル伝送を実現する。AVC/HEVC H/W CODECによる放送品質映像のIPリアルタイム伝送ができ、AES128/256での暗号化により公衆回線でもセキュアに伝送が可能。映像・音声・TALLY・カメラ制御信号をIPで伝送可能。また、SDカードへのローカル録画・再生もできる。
 また、SRTを使って超望遠対応セキュアIP監視システムも提案した。放送局等で使われる放送品質情報カメラシステムを、高画質デュアルユース監視システムとして提供する。AES 128/256で暗号化されたIP通信を標準装備し、B4マウント対応により多彩な望遠レンズを使用可能。さらに、全天候用ハウジング/IPリモート制御へ対応(オプション)している。
 最新のIP(SRT)対応カメラ「AB―4404」で撮影した映像をTR―5004で伝送する。伝送する際、2種類のIPストリーム(映像)を送ることができる。
 また、発売時期は未定だが、SRT対応IPマルチビジョン「MV―2200―SRT(仮)」の開発も進めている。オンプレでSRTフォーマットIP映像のマルチウィンドウモニタリングが可能になり、100GbEインタフェースを搭載、HD解像度SRTストリーム16画面以上の入力・表示に対応する。
 8K技術と業務用ワークステーション(WS)を駆使して、キズを検出するデモを行った。シルバーメタリックに塗装された板を、蛍光灯下で見てもキズは一切見えないが、比較的波長が長い可視光を当ててみるとキズが見える。また、8Kモノクロセンサで見るとまた見え方が変わる。
 8Kメディアサーバを3機種紹介した。「AS―8930」は再生機で、収録はできない。「AS―8940/8950」はいずれも再生・収録機だが、AS―8950は脱着SSD対応により容量を増やすことができる。
 8KとHDは複数の非圧縮映像の記録/再生が可能。10種類以上の非圧縮静止画の連番ファイル再生に対応する。最新のUSB3・2 Gen 2×2(20Gbps)を採用し、高速なデータ転送速度を実現する。最新の10GbEthernetを採用し、高速なデータ転送速度を実現。業務用/放送用映像機器として運用可能な複数台での同期運用が可能。
 放送以外への展開も進めており、産業用途や医療用途など、データ欠落が無い画像記録が必要とされる分野を狙っている。
 この他、AIアシスト搭載アーカイブサーバー「Intelligent Stream Archive Server」も紹介した。同サーバーは、日付や時刻が不明でも、関連キーワードを入力すればCE―LLMが解釈し、候補の映像を表示する。また、詳しい状況がわからなくても、ターゲットの情報があれば検索可能。検索結果の録画を視聴でき、必要に応じて画像・映像としてダウンロードできる。
 サーバにはシャープ独自のエッジAI技術「CE―LLM(Communication Edge―LLM)」を搭載している。CE―LLMは、エッジ端末での自然な音声対話機能、誰でも簡単に声だけで使用可能、抽象的な指示や複雑な指示を解釈して検索を実行できるなどの特徴も有する。
(全文は7月4日号3面に掲載)