ソニー、放送・業務用機器向け展示会開催 フィジカルとバーチャルが重なる世界を実現

 ソニーは、「Our Perspective for your Vision」をコンセプトに、放送・業務用機器のユーザーに向けた展示会「Creative Solution Showcase 2025」を開催した。
 同展示会では、「生産性の向上」と「顧客体験価値の向上」をテーマにした展示ゾーンや、お客さまとともに創る現場の“今”を感じ取れるセミナーを通じ、時代の要請やビジネス環境の変化に適応していく同社の取り組みと方向性を紹介した。
 展示会の概要についてソニーマーケティング B2Bビジネス本部 本部長の中川一浩氏が説明した。まず「ソニーのCreative Entertainment Visionは『〝Create Inifinite Realities〟、フィジカルとバーチャルが重なる多層的な世界をシームレスにつなぎ、クリエイターと共に、クリエイティビティとテクノロジーによる無限の感動を届ける』です。
 クリエイティビティとテクノロジーを掛け合わせてお客さんに感動を届けることを目標にしています」と語った。コア技術である映像に、時間を掛け合わせることにより(映像×時間)、クリエイティビティの最大化(生産性の向上・効率化)を図る、また、映像に空間を掛け合わせることにより(映像×空間)、空間の体験価値を創造する。
 具体的な事例として、映像×時間ではテレビ愛知の制作スタジオサブ(IPベースの次世代ライブ制作システムを導入)、鹿島アントラーズのクラウドによる映像素材伝送と制作ワークフローの実現などを挙げた。映像×空間では、長崎スタジアムシティのアリーナ/スタジアムの空間演出の要である統合演出システムを導入、サンリオピューロランドのワークショップ型アトラクションのコンセプト立案・映像演出を担当などに加え、大阪・関西万博(2025年日本国際博覧会)の「GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION Dialogue Theater―いのちのあかし―」のコンセプト構築・体験設計・空間/映像演出を企画・:プロデュースを担当した。
 また今後、テクノロジーを活用したフィジカルとバーチャルを超えた価値の創造を目指すとし、そのキーワードとして〝深化〟〝拡充〟〝探索〟の3つを挙げた。映像×時間の深化ではコンテンツ制作の映像表現の可能性を広げる製品ラインナップの拡充、探索ではテクノロジーの力で日本の映像制作の未来を共に創造、拡充では放送局で培った映像表現や制作ワークフローを軸に文教・企業市場へ裾野を拡大およびセンシング技術を組み込み社会インフラの省人化と業務の実現などを行う。
 このうち探索は、まだ研究段階でモノはないが、映像制作ワークフローのDX化に取り組んでいる。ソニーではこれまで送出/配信、編集/加工、撮影/収録についてDX化を行ってきた。今後は、準備/リサーチ、企画/構成、プロモーション/2次利用の分野もDX化を進めていきたいとしており、具体的には番組構成、デジタルアセット、制作プロセス(脚本解析)、完パケ送稿などを検討している。5~10年後を目途に開発していくという。
 映像×空間の深化では、ソニーグループの技術を活かしリアルとデジタルを組み合わせた体験価値を創造、拡張ではロケーションエンターテインメントにつながるリテールメディアやコンテンツによる送客・集客効果の実現などを挙げた。