ミハル通信 岩田春樹社長が会見 極超低遅延伝送技術、エンタメ系に期待

 ミハル通信は、10月24日に鎌倉本社(神奈川県鎌倉市)でメディア懇談会を開催し、6月25日に就任した岩田春樹代表取締役社長(写真)が各社のインタビューに答えた。岩田社長は「注目しているのは、IPの技術が今後どう展開されていくか。今後の事業では、AI開発などソフトウエア開発を強化する。ミハル通信の極超低遅延伝送はどこにも負けない〝すごい技術〟。エンタテイメント分野でブレークする可能性が非常にある」などと話した。
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 岩田社長との主なやりとりは次の通り。
 ――経営の基本となる岩田イズムのような理念を聞きたい
 「人材がいちばん大事だと考えている。会社が人材を育てて、チームとしてのアウトプットをいかに出すか。アウトプットを出すための最大のポイントはコミュニケーションである。社長に就任した最初の挨拶も、過去の会社の社長就任時も『皆さんと話したい、気軽に話したい』と言った。それから〝出る杭は絶対に打たない〟というのがポリシー。『皆さん尖ってください』と必ず伝えている。日本の会社は減点法の組織で、それではみんな標準的な人間になりがちになる。会社には尖った人もいて、標準的な人もいて、そのマイナス側に尖った人もいて、平均を取ると50点かもしれないが、実はそういう組織が強い会社なのではないか。尖っている人をいかに伸ばせるかにこだわりたい」
 ――社長から見たミハル通信の特長は何か
 「鎌倉本社にはハードウエア、ソフトウエア、保守を含めて約140人のエンジニアがいる。技術統括本部による一体となった仕事ができるのが特長だ。製品開発はほとんど鎌倉本社が行っている。同業他社にはないところだ。社内で技術継承ができ、そのため高い技術力が維持できる。スピード感のある開発につながっている。また、身軽に動ける。お客さまの要望を聞いて、これをやってみようとなったときにフットワークが軽い。一方、営業力ではほんとうに地域に密着した、技術を知っている営業がいるのが特長」。
 ――ミハル通信は、2023年4月1日付で古河C&Bの全事業を譲受した。その成果は。
 「このねらいは、古河C&Bとのコラボレーションによって、デジタル信号処理技術など新しい技術へのマイグレーションを加速できること。新規分野としては古河C&Bが担っていたラジオ局向け製品開発を進めている。技術融合を実現しながら、お客さまに今までと違う方向からアプローチできるようになった。両社併合前のお客さまの系統は同じ。アプローチする箇所が近かった。技術面では両社のハードウエア、ソフトウエア開発をまとめた。技術融合がだんだん完成しつつある。営業体制も見直した。別々に営業していた相手先に一体で提案に行くメリットは大きい。古河C&Bの技術の知識を持った営業が当社の営業として加わった。両社の技術をわかった人間がお客さまに赴くことで、ビジネスが膨らんできつつある」。
 ――社長が考える、ケーブルテレビ事業者の現在の課題は何か。
 「ケーブルテレビ事業者は、規模が大小あって、各地方によってだいぶ違う。いちばんの課題は地方で顕著だが、少子高齢化による人口減少。サービスの新規加入者が自然減となっている。そうなると設備投資などコスト面でハードルが高くなり、出せるお金の範囲が決まってしまう。現状を維持していくのに皆さん悩まれている。『ケーブルテレビネットワーク光化等による耐災害性強化事業』といった補助金もあるが、設備投資などをやりたくてもできない事業者がいる。その中で、ケーブルテレビは次の強みを活かしていくべきだ。FTTHを使っている事業者は上り下りで高速通信が行える。これは圧倒的なアドバンテージだ。さらに、地域密着サービスを展開していることが大きい。地域に長年、根付いて各種サービスを提供している。災害時には、地域住民に安心安全な情報を届けている。課題解決には関係者が知恵を絞って、情報共有しながら対策を進めることだ」
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(全文は11月13日付け紙面に掲載)

この記事を書いた記者

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村上潤一
テレビ・ラジオの番組および会見記事、デジタル家電(オーディオ、PC、カメラ等)、アマチュア無線を担当