
【Interopレポート】ミハル通信~ELL LiteでSRTのデモを実施
ミハル通信は、Interop2025の古河電工のブースにおいて「FITELnet」の活用事例として「ELL Lite」を紹介するとともにブース内セミナーを開催した。
ELL Liteの特徴は4つあり、まず最初の特徴は極超低遅延。こちらは製品の名前の由来にもなっており「エクストリームローレイテンシ」の頭文字から取っている。一般的なコーダーは映像を圧縮するため遅延が生じるがELL Liteでは遅延を極限まで小さくしている。
2つ目は高画質な大容量映像を圧縮いており、帯域が限られたフレッツ等の公衆回線で転送することができるので、低コストで回線を利用できる。
3つ目は非圧縮デジタル音声を伝送できる。一般的なエンコーダは映像データに重畳された音声を一緒に送るものが多いが、同社は最大64チャンネルの非圧縮デジタル音声をそのまま転送できる。
最後4つ目は1台でエンコードデコードが両方対応する。双方向で転送する場合、1拠点あたりエンコーダとデコーダを1台ずつ必要なので計2台が必要。ELL Liteは、エンコードとデコード機能が同時に動作するので、各拠点に1台ずつ置くことで低コストに双方向伝送することができる。
次にELL LiteとTelnetのコラボを紹介。通常の音声と映像伝送にはRTP(リアルタイム転送プロトコル)というプロトコルが使われており、リアルタイム性を非常に重要視している。従って到達確認やフロー制御のあるTCPは不適切で、トランスポートにはUDPが使われる。ただしTCPではないので伝送の再送が行えないので、パケロスにつながり、映像や音声に乱れを生じさせる。
SRTはUDP通信の品質を向上するためにアプリケーションレイヤで再送やFECをサポートするプロトコルで、再送機能やネットワークジッタを吸収するバッファなどを持ち、映像伝送ではスタンダードになりつつある。しかし、ELL Liteでは未サポートである。
プロトコル一つ追加することは本来大変なことだが、古河電工のコンテナ機能により同社製ルータに比較的容易に実装することができた。
ブースではELL Liteと古河製ルータ(SRT搭載)を組わせて実験を実施。同じ映像をSRTあり・なりの2系統で伝送、それぞれ画質を並べて比較した。伝送路にネットワークエミュレータを設置し、故意にパケロスを発生させるデモを行った。パケロスのあるネットワークで、SRTありのフローとSRTなしのフロー見比べることができた。
パケロス発生前はSRTあり・なしとも画像に差はないが、パケロス発生後はすぐにSRTなしの方はブロックノイズが出て、最終的には画像が表示されなくなった。SRTありの方は、パケロス発生後もしばらくはブロックノイズは出ず、最終的にもブロックノイズは出たものの、画像は消えることなく表示していた。
今後、コンテナ機能を活用し、映像伝送をサポートし、例えばTWAMPで回線品質を測定し、最適なバッファ量を自動設定するなどを計画している。また、エンコーダだけでなく、接続するあらゆる機器をサポートできる可能性を持っているとした。
この記事を書いた記者
- 放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。