新年特集  Japan Drone in 九州 開催レポート

2022年12月6日(火)~7日(水)に福岡国際会議場4階会議室(福岡県福岡市博多区石城町2―1)で「Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO in 九州(福岡)2022」が開催された。主催は一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)。共催はコングレ。特別協力は福岡地域戦略推進協議会、西日本新聞社。同展は、地方都市でのドローン活用、次世代エアモビリティ活用をテーマにした展示会・国際コンファレンス。日本初の本格的な民間ドローン専門展示会&コンファレンスとして、毎年6月に開催している『Japan Drone』は無人航空機の単独展示会として、ドローンの利活用や産業振興に大きな役割を果たしている。その『Japan Drone』が九州で初めて開催された。  ブルーイノベーションは、「Japan Drone /次世代エアモビリティEXPO in 九州(福岡)2022」に出展し、同社ブースでは、複数のドローンやロボット、各種センサーなどさまざまなデバイスを遠隔で一括制御・統合管理する独自のデバイス統合プラットフォーム「Blue Earth Platform(BEP)」による業務自動化・DXソリューションを紹介した。「「ELIOS 3」や、ドローン・AGVを活用した点検ソリューションなどの展示・デモを行った。 「その業務、ドローン・ロボットで自動化します enabled by BEP」をテーマに用途別に▽屋内ドローン点検・測量「BEPインスペクション」▽ロボット自動巡回点検「BEPサーベイランス」▽送電線ドローン点検「BEPライン」▽ドローンポートシステム「BEPポート」―を展示した。岡国際会議場4階会議室(福岡県福岡市博多区石城町2―1)で「Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO in 九州(福岡)2022」が開催された。主催は一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)。共催はコングレ。特別協力は福岡地域戦略推進協議会、西日本新聞社。 ブルーイノベーションは、プラントやインフラ施設、工場や上下水道などの屋内点検向け球体ドローン「ELIOSシリーズ」の最新モデル「ELIOS 3」を展開している。展示会では自社のブースにフライトエリアを設け、球体点検ドローンELIOS3の飛行のデモンストレーションを行った。ELIOS 3は、世界初の屋内3Dマッピング用LiDARセンサーと、飛行空間をリアルタイムに3Dモデル化するSLAMエンジン「FlyAware」を搭載しており、点検対象箇所・施設の多角的かつ高精度なデータ取得と、空間情報の3D化によるドローン周辺環境の容易な把握、それによるドローン操作の簡易化と高い安定飛行性を実現した。 さらに、取得データはELIOS 3と同時リリースされる専用解析ソフト「Inspector 4・0」を通して高解像度な3Dレポートとして出力され、施設の破損や異常箇所の位置を3Dマップ上で正確に把握・共有することができる。 施設状況や異常箇所をリアルタイムに3Dモデル化するELIOS 3のリリースにより、点検業務のさらなる安全確保と効率化に加え、3Dデータ利活用による施設の運用・管理や予兆保全への貢献、 DX化の推進に貢献する。 ※ELIOSシリーズ:Flyability社(スイス)が開発した、非GNSS環境下の屋内空間などの飛行特性に優れたドローン。球体状のガードを備え、配管やボイラー、煙突といった人が入れない目視外の狭小空間や危険な場所の点検に適している。ブルーイノベーションは日本おける独占販売契約をFlyability社と締結し、ELIOSシリーズを使用した点検ソリューションを提供。プラントや発電所、下水道などを中心に200ヵ所(2022年3月末時点)を超える屋内施設でのドローン点検の導入実績を有している。 ※SLAMエンジン「FlyAware」:最新のLiDAR技術とコンピュータビジョン、高性能グラフィックエンジンを組み合わせから成り、センチメートル単位の精度の屋内GPSとして機能。高度な自己位置認識とマッピング能力を有し、点検だけではなく空間の高精度な三次元化や測量を可能にした。 ※ELIOS 3専用解析ソフト「Inspector 4・0」:ELIOS 3の専用解析ソフト。ELIOS 3が取得した各種データから高解像度な3Dモデルレポートを作成・表示し、施設や点検箇所の状況を直感的に把握できる。 ブルーイノベーションのドローンポート開発では、同社は2016年から国土交通省や東京大学などと共同で、ドローンポートの稼動状況の確認や運用管理、ポート周辺の安全管理などをリアルタイムに行う「ポート情報管理システム(VIS)」と、ドローンポート本体から成るドローンポートシステム「BEPポート」の研究開発を進めており、全国で実証実験を重ねている。 また、国際標準化機構(ISO)において有人・無人航空機の離発着を管轄する空港インフラ(SC17)のワーキンググループの議長を務めるなど、空のインフラや設備の国際標準化にも積極的に取り組んでいる。    ◇ イームズロボティクスは、「リモートID送信機」と「リモートID受信機」の2機種の実機を展示した。送信機は、2022年6月20日から施行されたリモートID制度に準拠した国産品で、軽量・防水・防塵に加え、最大3000㍍の送信距離を有している。 新たに航空法で定められたドローンの機体登録制度では、有人地帯における補助者なし目視外飛行(レベル4)に関わる法整備の一環として、100㌘以上の全ての無人航空機に対して登録記号(ID情報)を発信する仕組み「リモートID」の搭載が義務付けられた。 同社の「リモートID送信機」は外寸60×30×22㍉㍍、重さ33㌘とコンパクトな設計で、約120㍉㍍のリード型アンテナを装備している。通信はブルートゥース5・0を採用し、最長3000㍍先にも電波を飛ばすことができる(見通しの良い環境での実施、同社最新の試験による)。一般的なドローン運用において、ドローン本体との通信に影響がないことを確認している。 防水・防塵性能(IP54相当)を備え、農薬散布ドローンなど屋外で飛行させるドローンやラジコンヘリなどの搭載にも対応。8時間以上の連続稼働が可能だ。そのほか、落下や振動をはじめとした車載性能レベルの試験を行い、信頼性を確保している。 イームズロボティクスの新型物流ドローンのプロトタイプ「NEW E6150FL」も紹介した。長距離飛行を目的に開発中の新モデル。航空力学を応用した最先端設計を取り入れた。ペイロードは10㌔㌘で、実用化を目指す。 イームズロボティクスはNEDO「次世代空モビリティの社会実装に向けた実現プロジェクト(ReAMoプロジェクト)」のうち、「ドローンの1対多運航を実現する機体・システムの要素技術開発」の採択を受けた。この「ドローンの1対多運行」についてパネルで紹介していた。    ◇ ITbook HDのサムシングと長崎放送のグループ会社であるkiipl&nap(キプランドナップ)は、『物流』分野で振り子揺れ防止機能や空中自動キャリブレーションを備え、自動飛行に対応できる最大積載量49㌔の特殊大型ドローン「EAGLE―49」を展示した。『点検』分野で容易に確認できない狭隘部を360度カメラで全方位を自由に確認可能な独自のマイクロドローン「COBALT―360X1」を展示した。『計測』分野では話題の自立四足歩行ができる犬型ロボット「SPOT」を展示した。今後様々な分野での活躍が期待される話題の自立四足歩行の犬型ロボット「SPOT」にTrimble社製の地上レーザーX7を搭載して展示した。 重量物運搬ドローン「EAGLE―49」は、急斜面の山岳地帯でも、手軽に重量機材を運搬する。特長は▽最大積載量49㌔㌘▽自動飛行対応▽振り子揺れ防止機能▽空中自動キャリブレーション▽カメラ搭載(目視外飛行に対応する)。山岳地帯での重量物運搬では舗装されていない道が多く、重量機材を運ぶには、モノレールや農業用クローラ等を使用して運搬する。しかし、山岳地帯には急斜面が多いため、急斜面のない設置場所を選定するか、運搬費用の負担が高いヘリコプターにて運搬するしかなかった。これらの課題を解決するために、最大積載量49㌔㌘の重量物の運搬を可能にしたドローンが完成。それにより急斜面の影響もなくヘリよりも安価に運搬することが可能になった。    ◇ Braveridgeは、2022年6月20日からドローンやラジコンなど無人航空機への搭載が義務化されたリモートIDの新製品、世界最小・最軽量の『リモートID mini』の製品化を2022年12月1日発表。展示会に出展した。2023年3月から販売開始予定だ。同社は、航空法改正による6月20日からの無人航空機へのリモートID搭載義務化を受け、ドローン市場に参入。リモートIDの低価格化を実現し、多くの無人航空機ユーザーへ現実的な選択肢を提供した。 2022年8月30日に発売した『リモートID BVRPA/BVRPN』で、リモートID機器の圧倒的な低価格化を実現したBraveridgeが、今度は、世界最小・最軽量というリモートID機器の圧倒的な小型化・軽量化を実現した。顧客の要望に応えて製品化。『リモートID mini』は世界最小・最軽量の極小サイズ。19×19㍉㍍の外寸で、面積は従来品比4分の1以下、厚み5・0㍉㍍、重量わずか1・6㌘(アンテナ、電源線重量除く)という、圧倒的な小型化、薄型化、軽量化を実現した。より小型でスペースが限られた機体への搭載が可能になった。    ◇ ciRobotics(大分市)は、大型ドローン性能評価装置「ドローンアナライザー」と林業ドローン「ciDrone TR―22」を展示した。「ドローンアナライザー」は、大分県産業科学技術センターと共同開発した無人航空機性能評価装置。ドローンアナライザーとはドローンが飛行する際の挙動を再現させ、ドローン飛行中の運動性能解析や出力性能測定を行う装置で、ロボット上での飛行模擬によって、屋外での飛行試験をすることなく、ドローンの飛行性能を定量的に評価できる国内唯一の装置。実飛行せずに機体性能を測定できる装置で、機体点検や機体性能評価、耐久試験などに活用ができる。 「ciDrone TR―22」は、電動ウィンチによる物資運搬ドローン。近距離を何往復もしたり、着陸が難しいケースでは吊り下ろしによる物資の運搬が効率的。最大20㌔㌘の荷物を搬送することができ、林業分野における苗や資材の搬送に最適だ。荷物が地面に着いたら自然と開く、自動開放フックを採用。飛行するドローンの真下に人が侵入することがない上に、システムトラブルによって荷物の切り離しができなくなることがない。スキッド部分には2本のフレームを配置しており、荷物の過度な巻き上げを防ぎ、飛行中の荷物の安定性を保つ役割がある。