東京電機大学校友会が公開講演会、高橋名誉教授がVisual Computing 技術紹介

 一般社団法人東京電機大学校友会神奈川県支部(平山文雄支部長)は7月12日(土)、横浜市神奈川区のかながわ県民センター2階ホールで、同大名誉教授でアストロデザイン社技術顧問の高橋時市郎氏を講師に招き、「ビデオゲームを支えるVisual Computing 技術」と題して公開講演会を開いた。一般参加者や同大OB等関係者ら約40人が参加し、CGや画像処理にも活用される技術について理解を深めた。
 研究者や大学関係者等を講師に、最新の研究事例や技術を一般に公開するために毎年定期的に開催し、今年で20回目を数える。今年は、この3月に同大大学院情報メディア学専攻教授を退任し、現在は同大名誉教授としてアストロデザイン社の技術顧問も勤める高橋氏が講師として登壇し、これまでの研究の歩みや最新のソリューションを支える技術について紹介した。
 高橋氏は、1977年4月に日本電信電話公社(現NTT)に入社。NTT基礎研究所・ヒューマンインターフェイス研究所やNTTサイバーソリューション研究所等を経て、2003年4月から同大で情報メディア学科教授として教鞭をとった。
 高橋氏が主に研究してきたという、Visual Computing 技術はCGや画像処理、コンピュータビジョン、可視化、拡張現実感を含む幅広い分野にわたる技術分野で、近年のゲーム産業の隆盛を支えてきた。近年では、発展が著しいメタバース等の新しいビジュアルコミュニケーションにも応用されており、様々な応用分野を創出してきたという。
 講演では、NTT時代に出会った、現在のCG製作技術につながる写実的画像生成技術や非写実的画像生成技術の研究、現在のブログにもつながる「サイバー図鑑」の開発とビジネス展開への失敗談などを紹介した。
 超高精細・超広色域CGやVR/AR/MR、超高速映像(240FPS以上)といったビデオゲームの基礎技術とも言えるVisual Computing 技術による新映像表現の研究については、「8K+VR」として、長野県小布施町とNHKアート、北斎美術館との共同による葛飾北斎作の鳳凰と龍の図の3D化に向けた取り組みや、CGを使って江戸と東京の街並みを再現した「Project江戸藩」、国連核拡散防止条約会議総会でも使用された戦災前の広島の街並みのCGを使った復元の取組などを紹介した。
 このほか、指導学生による「VRを用いた左利き社会体験システムの開発」や、錯視画像を三次元で表現した錯視アニメーションといった取り組み等を紹介していた。
 講演後の質疑応答では、参加者から「地球温暖化を危惧しており、ゲーム等を通じて若い世代にメッセージを伝えたいがどうすればいいか」といった質問があった。
 高橋氏は、VR技術を応用して地元の高校生との高大連携で開発に取り組み、映像表現・芸術科学フォーラムで表彰された津波浸水体験シミュレーターの研究事例について紹介しながら、「こういったすごい高校生もいると感心した。彼らの世代に期待してもらえたら」と話していた。

この記事を書いた記者

アバター
kobayashi
主に行政と情報、通信関連の記事を担当しています。B級ホラーマニア。甘い物と辛い物が好き。あと酸っぱい物と塩辛い物も好きです。たまに苦い物も好みます。