西武建設、壁面接触作業ドローン

 西武建設(東京都豊島区)は、 6月5日まで幕張メッセで開催中の「Japan Drone2026」(主催・一般社団法人日本UAS産業振興協議会〈JUIDA〉)に、足場に頼らない壁面調査・作業ドローン『壁面接触作業ドローン』を出展している。
 この研究・開発は、西武建設のほか東京理科大学、建築研究所の3者が共同で行っている。
 壁面接触作業ドローンとは、構造物の壁面等に接触し、搭載した工具により調査・建築的な作業が可能なドローン技術。壁面のドリル穿孔や、シーリング材充填、穴内部の清掃、均し仕上げを行う。
 この技術による効果は、従来の維持保全業務における省力化・コスト削減・安全性向上への貢献である。
 研究の背景には、構造物の老朽化や人材不足といった、効率的かつ安全な維持保全技術の必要性があった。
 従来の維持保全技術の課題として、足場等の仮設工事に伴う費用および工期の増加や、高所作業の長時間化に伴う危険曝露時間の増加があったという。
 具体的な研究・開発内容は▽壁面等に安定して接触し、作業時に発生する反力を相殺する接触・加圧機構▽調査内容に応じた測定機構および制御機構▽建物調査の有資格者が映像を見ながら遠隔からの調査・指示を想定した遠隔臨場システム―となっている。
 なお、『壁面接触作業ドローン』は『耐久性評価を可能とした接触作業ドローンの研究・開発』として、国土交通省のSBIR建設技術研究開発助成制度に採択されている。
 「昨年のJapan Droneにも出展したが、今年は改良を加えたものを紹介している。こちらは国交省の建設技術研究開発助成制度に採択されて、昨年からそれを実施しており、今年は2年目になる。その中で今まで出てきた課題を改良して、実際に社会実装させるために進めてきた。昨年のドローンは穴埋め作業がメインで、反力(外力を受けた物体や構造物が動かないように支点や接触面で生じる、外力とつり合う向き・大きさの力)が大きくなかった。ただ、今回はドリルで穴を開けるという作業に入ったので反力が大きくなったということで改良した。昨年までは斜め17度、機体を倒して、斜め方向の推進力だけで反力を相殺していたが、それだけではまかなえない。今までドリルを行っていた際は、係留索を横側から引っ張って、ドローンを壁面側に押し付ける方法を採っていたが、その方法だと係留索4点に設置しなければいけない。結構、装置が過大になって設置に時間がかかってしまう。今回の改良点だが、普段はドローンはプロペラが縦になって飛行するのだが、飛行した後に反力をかせぐために、プロペラが90度の角度で回転してドリルが入っていく時にプロペラが加圧する、抑える、反力を相殺するような機構にした。ただ、プロペラがこの状態では揚力が無くなってしまうので、上からの安全装置で機体を吊っている形になっている。従って、目標の場所までは飛行して移動し、移動した後に上からの吊り具で機体を吊る状態で90度回転するようにした。今まで同様に搭載工具に関しては、3次元スライダーというゲームのクレーンキャッチャーみたいなもので3次元方向にドリルを動かして、目標の位置に定めた後に穿孔していく形になっている。今年度から調査の内容において、中性化測定をNDISという日本非破壊検査協会の定めた、ドリルで中性化を行う際の基準に則って準じている。今まで人で行ってきたものを実際、ドローンで行っていこうと進めている」(西武建設)。

この記事を書いた記者

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田畑広実
元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。