NECが『自律型マネージドサービス』

 NECは、9月2日にNEC本社ビル(東京都港区)でメディア説明会を開催した。執行役Corporate EVPの木村哲彦氏=写真=、マネージドサービスビジネス統括部長の嶋村寿氏が会見し、フロンティアAIを活用し、脆弱性の検出から対処までをワンストップで支援する自律型マネージドサービスの提供を開始したと発表した。
 併せて、セキュアシステムプラットフォーム研究所長兼NECセキュリティ社取締役執行役員常務の藤田範人氏が会見し、フロンティアAI時代の脆弱性対処を支援するセキュリティ向けAI技術「cotomi Security for Industry」を開発したと発表した。
 ◇『自律型マネージドサービスの提供』について
 NECは、フロンティアAIを活用し、IT/ネットワーク資産の発見から脆弱性の検出、リスク分析、優先順位付け、対応策の立案・対処、運用改善までをワンストップで支援する自律型マネージドサービスを、価値創造モデル「BluStellar」(ブルーステラ)のもと、AI駆動型マネージドサービス「BluStellar Intelligent Managed Service」として、9月末より金融機関・製造業・流通サービス業から提供を開始する。
 このサービスは、資産情報、脆弱性情報、業務影響をAIを用いて統合的に分析し、顧客ごとに優先して対処すべきリスクを特定するとともに、対応策の提案から対処までをワンストップで支援する。
 さらに、AIを活用して脆弱性対応状況やシステム運用データを継続的に分析し、リスク評価や改善施策の立案を通じて運用改善サイクルを継続的に回すことで、脅威に先回りして備えるサイバーレジリエンスを実現する。
 同社は、同サービスで3年間に売上高300億円を目指す。
 木村氏は「フロンティアAIの出現により、企業は新たな課題に直面している。フロンティアAIを使って攻撃が自動化、そして高速化されて、無差別かつ同時多発的に行われている」と現状を指摘した。「これは、先行する金融業界だけにとどまらず、今後あらゆる業界に確実に波及して広がっていく」と予測。「すべての企業がセキュリティ体制をアップデートしていかなければならない危機を感じており、企業のビジネスを止めないためにも、 IT運用の強化、特にセキュリティ運用の高度化のニーズが高まっていると考えている」という。
 守るべき資産の検出把握から始まり、リスクベースでの脆弱性対処の優先順位付け。対処の高速化、自動化、そしてリスクに強いアーキテクチャの刷新といった一貫した対策を整備していくことが求められているということだ。AI時代のセキュリティ対策は、個別の対処から変わり続けるIT基盤への変革が求められている。自律的、持続的なIT基盤そのものに変え続ける必要があるのだ。
 ◇ブルーステラインテリジェントマネージドサービス
 こういった課題を解決するのが新しく提供を開始する『AI駆動型マネージドサービスであるブルーステラインテリジェントマネージドサービス』だ。ポイントは「脆弱性対応に必要な資産管理から対処までを一連のサービスとして提供する。フロンティアAIなどで蓄積されたノウハウを活用した脆弱性の診断、そしてそこから必要な対処案というものを作って提示し、さらにはAIエージェントによって、自動的かつ高速にセキュリティリスクをコントロールしていく」ところ。
 「従来は人が定期診断や個別の判断、手作業での修復をやっており、リスクが蓄積していく状態が続いていたが、これからはIT基盤が常時変化の兆候を検知して、AIが即時に対応候補を提示して、統制された自動修復によってリスクの滞留を最小化することを私たちは目指している」(同)。
 さらにサービスの詳細を嶋村氏が説明した。
 「ブルーステラインテリジェントマネージドサービスは、グローバル標準のサイバーセキュリティ標準を10フェーズに分類して、高性能AIおよびAIエージェントを組み合わせることで、自動的かつセキュリティリスクを、コントロールできる仕組みだ。サービスの中心にあるのが脆弱性情報の検知、収集、優先順位付け、対処方法の立案などを、NEC独自のインテリジェンスを駆使した次世代のサイバーセキュリティサービス「CyIOC」(サイオック)の活用。そして『CyIOC』のコアにあるのがこのあと発表するセキュリティ向けAI技術『cotomi Security for Industry』である」と述べた。
 ◇サービスの主な特長
 『自律型マネージドサービスの提供』の特長は3点。
 ▽AIによる脆弱性対応プロセスの高速化
 AIを活用し、IT/ネットワーク資産の発見から脆弱性の検出、対応優先順位の判断、パッチ適用、進捗管理、運用改善までを効率的にワンストップで支援する。これにより、従来は人手に頼っていた脆弱性対応の高速化を実現し、セキュリティリスク低減を支援する。
 ▽パートナー連携とAI活用により、脆弱性対応を高度化
 先進的なパートナー企業とのエコシステムと、次世代サイバーセキュリティサービス「CyIOC」で活用するセキュリティ向けAI技術「cotomi Security for Industry」を連携し、脆弱性リスクを分析する。CVSS(Common Vulnerability Scoring System)などの業界標準指標に加え、機器のインターネットへの露出状況、悪用事例、業務への影響などを踏まえ、米国CISAの「BOD26-04」に基づいて対応優先度を判断する。
 また、脆弱性の組み合わせを特定・評価し、実際の攻撃リスクに応じて優先度を見直す。さらに、優先順位付けから対応方針の策定、緩和策の検討までを支援する。
 これらにより、脅威情報や業務影響を踏まえた迅速かつ的確なリスク判断を実現し、限られた人員やリソースを重要なリスクへの対応に集中させることができる。
 ▽AI駆動型マネージドサービスと実践知で、サイバーレジリエンスを継続的に向上
 専門人材の確保が難しい顧客に対しても、AI駆動型マネージドサービスとして、脆弱性対応状況やシステム運用データを継続的に分析し、リスク評価や改善施策の立案を支援する。また、NECが自社をゼロ番目のクライアントと位置付ける取り組みである「クライアントゼロ」を通じて得られた実践知と、社会インフラやミッションクリティカル領域で培った知見を随時サービスに反映することで、顧客のサイバーレジリエンスの継続的な向上を支援する。
 ※「cotomi Security for Industry」については別掲します。

この記事を書いた記者

アバター
田畑広実
元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。