カシオ「ClassPad.net」にAI評価支援 「先生の専門性を拡張」、人間中心の設計を重視

カシオ計算機は、ICT学習アプリ「ClassPad.net(クラスパッド ドット ネット)」に、生徒の提出物をAIが解析し、評価案やコメント案を生成する「AIフィードバック機能」を追加し、2027年1月から提供を開始する。

新機能は、東京学芸大学発ベンチャーのDmeltの協力を得て開発した。ClassPad.net上で生徒が「ふせん」に入力した内容などをAIが解析し、良かった点や改善点、評価案、次の学びにつながる提案などを生成する。

ただし、AIが評価を確定する仕組みではない。生成した内容は必ず教員が確認・編集した上で、生徒へ返却する。

カシオは電波タイムズの取材に対し、設計で最も慎重にした点について「AIが先生に代わるのではなく、先生の専門性を拡張する存在として機能すること」と説明した。

そのため、生徒がAIを直接操作する形ではなく、教員による「評価・フィードバック支援」として機能を具体化したという。

前回取材で示した「丁寧な実装」を具体化

電波タイムズは2026年4月、カシオの教育事業とClassPad.netについて取材している。この際、同社は教育分野での生成AI活用について、学校内の非公開データを活用しながら教員を支援する方向性を示し、教育現場に適した「丁寧な実装」を進める考えを明らかにしていた。

今回のAIフィードバック機能では、この方針を、生徒がClassPad.netの「ふせん」に入力したデータに対してAIが評価やフィードバック案を提示する形で実装した。

データの取り扱いについても、AIへ送信する対象を「ふせん」など機能上必要なデータに限定。生徒名など、個人を直接特定し得る情報は送信しないよう配慮している。

また、AIへ入力したデータはAIモデルの学習には利用しないポリシーを採用する。

カシオは、教員が最終的にAIの出力内容を確認・編集する仕組みについて、文部科学省が示す生成AI利活用に関するガイドラインに沿ったものと考えているとしている。

教員の負担軽減だけでなく「自己調整学習」を支援

新機能では、単純な業務効率化だけでなく、教育的な価値も重視した。

カシオは、教員が持つ生徒への理解とAIによる多様な表現を組み合わせることで、生徒一人ひとりに応じた具体的なフィードバックを提供することを目指す。

生徒がフィードバックをもとに自身の学習を振り返り、次に取る行動を自ら選択する「自己調整学習」につなげる狙いもある。

こうした設計に教育学的な知見を取り入れるため、東京学芸大学発ベンチャーのDmeltと協業し、機能の設計や検証を進めてきた。

現場の教員がプロトタイプ段階から評価

AIによる評価支援では、AIの出力が学校現場の実情から離れると、教員が内容を修正する作業が増え、かえって負担になる可能性もある。

このためカシオは、ClassPad.netを利用する教員にプロトタイプ段階から機能を評価してもらい、改善を重ねてきたという。

同社は「短期的な効率化のみを追うのではなく、先生が日々の授業で無理なく使え、長期的に教育現場に貢献できる『丁寧な実装』を追求する」としている。

AIフィードバック機能は年間契約で、価格はオープン。2027年1月から提供を開始する。

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