ハイブリッドなネットワークで無線通信安定化に初成功
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、徳田英幸理事長)、NEC(森田隆之代表執行役社長CEO)、国立大学法人東北大学(冨永悌二総長)及びトヨタ自動車東日本(石川洋之取締役社長)は、公衆網とローカル5Gのハイブリッドなネットワークを活用して移動体との無線通信を安定化するSmart Resource Flow(SRF)無線プラットフォームの実験に世界で初成功した。
NICT、NEC及び東北大学は、製造分野における5G高度化技術の研究開発を推進しており、その中でSRF無線プラットフォーム技術仕様書Ver. 2に対応した無線通信システムを開発した。本システムの有効性を稼働中の製造現場で確認するために、トヨタ自動車東日本の宮城大衡工場で、公衆網(5G/LTE)とローカル5Gを切り替えて移動体との間の無線通信品質を評価する実験を実施。その結果、サービスエリアの広さ等の特性が異なる公衆網とローカル5Gによるハイブリッドなネットワークを活用し、通信が途切れることのない安定化が実現できることを確認したという。
製造現場では、生産効率を向上するため無線通信を用いた製造向けアプリケーションの導入が年々進んでおり、今後も更に増加すると予想されている。例としては、自動搬送車による部品搬送の自動化やトルクレンチ等の工具情報の収集・管理などがあり、導入が増加すると、無線通信は干渉や遮蔽の影響により通信品質が不安定になり、遅延やスループットが悪化することがある。その結果、自動搬送車が安全のために停止したり、工具情報が取れず製造ラインが停止するなど、生産効率が下がる可能性がある。
NICTとNECは2015年から、製造現場の無線化を推進するフレキシブル・ファクトリー・プロジェクト(Flexible Factory Project)の活動を実施し、異種無線通信の協調制御により無線通信を安定して動作させるSRF無線プラットフォームの技術開発を推進してきた。2017年7月には、SRF無線プラットフォームに高い関心を持つ企業と共にフレキシブルファクトリパートナーアライアンス(FFPA)を設立し、技術仕様の標準化を推進。2023年1月に、SRF無線プラットフォームの技術仕様書Ver. 2を策定し、公開した。
(全文は11月18日付紙面に掲載)
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