日本ケーブルテレビ連盟、「2030ケーブルビジョン」をアップデート(3)

「2030ケーブルビジョン 2025年時点での取組み状況レビュー」
 浅沼哲雄日本ケーブルテレビ連盟企画推進部長が発表した「2030ケーブルビジョン 2025年時点での取組み状況レビュー」の概要は次の通り。
 2030ケーブルビジョンのアップデートにあたりアクションプランとして記載した各項目、それ以外にも状況変化を受け行ってきた各種施策の進捗状況、手応えをまとめたもの。
 大きく進捗しているアクションプランが多いものの、厳しい状況のものも確認できる。
 2030ケーブルビジョンで掲げたミッション 『地域DXで地域を豊かに、人々を笑顔に』 の推進はケーブルテレビ事業者にとって、ますます重要性を増している。
 2030年まで残り5年、ビジョンの実現、業界としての生き残りをかけ、引き続き業界一体となって進めていきたいと考えている。

 ◇放送が変わる ~地域における情報メディア・プラットフォームになる~
 ▽コミチャンをキーコンテンツとして再認識 し、放送波以外のあらゆる媒体でエリア内外に配信
 →例年9月開催の番組アワード贈賞式を、多くの事業者が集う7月のケーブルコンベンションで開催することへ
 →2022年7月に業界の新たな配信PFとしてスタートした㈱ニューメディアの「ロコてれ」は44社/59局が参画(2025年5月時点)
 ▽放送ビジネスの変化にしなやかに対応、民放ローカル局とも連携した地域共通映像配信 PF などの実現
 →小規模中継局等の代替案としてケーブルテレビによる実証参画やIPマルチキャスト伝送の提言
 ▽多様なデバイスによる放送視聴環境への対応を推進
 →AJCCより日本ケーブルラボ仕様のケーブルIPステックが提供され、採用社からのサービス提供が増加している(2025年2月時点23社)
 →プラットフォームJDSによるAndroid OSアプリの開発も進められている
 ▽ACASスキームへのマイグレーション
 →参加事業者は2025年2月時点で202社となり、2021年192社から増加しマイグレーションは進展している
 ▽ケーブルテレビが小規模中継局等の代替手段として、デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会で認定
 コンテンツが変わる ~地域の魅力を発信するコンテンツプロデューサーになる~
 ▽NHK・民放・コミュニティFMとのパートナーシップの加速化
 →NHKとの防災連携強化は、22協議会(+6)と187社(+19)が包括協定締結、101社(+18が個社で覚書締結(25年5月時点、23年比)
 ▽制作&発信力を磨き、企業・大学・行政等との連携を進め、あらゆる地域情報発信のシーンを担う体制を構築
 →「おまつりニッポン」と「壮観劇場」は、ともに48本ずつ制作し(2025年3月末時点)アーカイブ化と番組販売等を強化
 →JDSのsatonokaプロジェクトでは、コンテンツWGと連携し、番組制作と連動したLiveコマース、新宿歌舞伎町でのイベント事業、行政連携の「田舎で暮らそう 移住の先に見えるもの」シリーズなど、新たな事業モデル創出を推進中
 ▽地域コンテンツのターゲットを、広域・全国・グローバルに展開し、ビジネス規模を数倍に拡大
 →〈AJC-CMS〉の有償コンテンツ流通量は年3000番組を超え(全体は2万)、販売総額は2億円超の水準で推移
 ▽ケーブル4Kの全国PF化、業界コンテンツ流通システム(AJC-CMS)の オープン化、リージョナル化を実現・展開
 →JDSとJCCともに、業界共通チャンネルをリブランディング JDSの「satonoka」は81から87事業者へ拡大、JCC の「えんてれ」は96事業者の採用(2025年3月末時点)
 →AJC-CMSは、字幕と多言語対応(2022年)、配信用動画ビットレートに最大25M出力機能を実装(2024年)、多要素認証機能を実装(2025年)、流通量増加対応でサーバー容量を1.5倍にアップグレード予定(2025年中)

 ◇ネットワークが変わる ~安全で信頼性の高い地域 No.1ネットワークを構築する
 ▽アクセス網の オール光化の実現
 →ケーブルテレビの現状R6年12月版によると、R5年度末の幹線光化率は81.3%
 ▽地域IX ・リージョナルクラウドによるトラヒックの地産地消の実現
 →地域IXはR4年度の実証終了後、増えていない
 ▽ワイヤレスも視野にいれた総合的なソリューションネットワークの展開
 ▽他の通信事業者との連携と公正な競争環境の確保に向けた体制の確立
 →NTT法改正議論では、同法の廃止・存続について今後も継続検討となった (R6.12)
▽2030年を想定したサイバーセキュリティの総合的対策の推進
 →セキュリティ資料館の更新、一斉演習への参加促進により26者の参加