
MM総研大賞2025を発表、大賞にはSKYDRIVE社製「SkyDrive式SD―05型」
ⅠCT市場調査コンサルティングのMM総研(MMRI、東京都港区、関口和一所長)は、「MM総研大賞2025」(審査委員長:村井純慶應義塾大学特別特区特任教授)の最終審査を終え、「大賞」「スマートソリューション部門最優秀賞」「話題賞」の各賞を決定した。大賞には、日本発の電動垂直離着陸機「SKYDRIVE(SkyDrive式SD―05型)」=写真=が選ばれた。スマートソリューション部門賞は13件が選ばれたほか、話題賞にはグーグル合同会社のリサーチや執筆のためのAIアシスタントツール「NotebookLM」が選ばれた。
MM総研大賞はICT市場の発展を促すことを目的に2004年に創設した表彰制度で、今回で22回目となる。
最高鋒にあたる「MM総研大賞」は、受賞対象の中からICT市場の発展に最も寄与すると評価された技術やサービスなどが選ばれる。次世代のスマート社会を支える技術やサービスなどを表彰するスマートソリューション部門の「最優秀賞」には12分野の技術やサービスなどを選定し、ICT分野にとどまらず、社会的に大きな話題となった技術やサービスなどを「話題賞」として選出した。
大賞とスマートソリューション部門最優秀賞に選ばれた、SkyDrive社が開発する電動垂直離着陸機(eVTOL)「 SKYDRIVE(SkyDrive式SD―05型)」は、ヘリコプターと比べて静粛性や軽量化による利便性、機体構造がシンプルゆえの経済性などが期待されている。開催中の大阪・関西万博では公開デモフライトを実施しており、新たなモビリティ誕生の「産声」として注目を浴びた。世界でeVTOLの開発競争が激しくなる中、世界で張り合える国産機としての将来性と革新性が高く評価された。これによりスマートソリューション部門の次世代モビリティ分野での「最優秀賞」に加え、すべての技術・サービスの中で最高評価に値すると判断された。
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スマートソリューション部門では、12分野で13の技術・サービスなどが最優秀賞に選出された。各最優秀賞と概要は次の通り。
【AI分野】▽日本IBM「watsonx」:企業向けのAIプラットフォーム「watsonx」は、独自の小規模かつオープンな言語モデル「Granite」はじめ複数モデルから選択することができる。ビジネス変革、コード生成などITモダナイゼーション・変革の両面で貢献する点が高く評価された。▽ソフトバンクグループ「Stargate Project」や「クリスタル・インテリジェンス」など、AGI、ASIの実現に向けた取り組み:AI の社会実装に向けた動きが加速する中で、AIインフラを構築する「Stargate Project」や企業用最先端AI「クリスタル・インテリジェンス」を発表するなど、AIの社会実装およびAGI、ASIの実現に向けたグループ総力での取り組みが高く評価された。
【半導体分野】▽NVIDIA「NVIDIA Blackwell」:生成 AI とアクセラレーテッド コンピューティングの新時代を支えるGPU アーキテクチャであり、非常に高い処理性能を持つ。同社の小型AI スーパーコンピューターである「NVIDIA DGX Spark」にも搭載されており、AIの大規模な学習から推論までを支える製品力や将来性が高く評価された。
【光通信サービス分野】▽NTT東日本/NTT西日本「All―Photonics Connect powered by IOWN」:ユーザー拠点間の帯域保証型通信としては世界高水準の最大800Gbpsの帯域対応、高速・大容量通信、低遅延が特徴で、データセンター間接続や通信キャリアのバックボーン、遠隔医療での活用などその将来性が高く評価された。
【光通信インフラ分野】▽NEC「光海底ケーブル事業」:国際的な通信で重要な役割を果たす光海底ケーブルで世界トップクラスの実績を誇る。デジタルインフラの構築を設計・製造から工事までトータルソリューションで提供し、国際社会の発展を支える点が高く評価された。
【非地上通信分野】▽KDDI「au Starlink Direct」:スマートフォンが通信衛星と直接つながり、空が見えればどこでもテキストメッセージの送受信が可能となる。通信インフラの整備が困難な場所や災害時の通信手段として、その有用性や将来性が高く評価された。
【衛星データ分野】▽NTTデータ/Marble Visions「Marble Visionsの取り組み」:衛星データから3D地図を作成する技術「AW3D」を活用し、衛星画像の撮像から解析までをワンストップで提供し、デジタルツイン構築を支援するMarble Visionsの成長性が高く評価された。
【地域モビリティ分野】▽関西MaaS協議会「KANSAI MaaS」:関西に路線を持つ鉄道会社7社が共同で提供するスマートフォン向けのアプリで、日本初の鉄道事業者の連携による広域型MaaSとしての取り組みや大阪・関西万博の観光需要促進に貢献している点などが高く評価された。
【次世代モビリティ部門】▽SkyDrive 「SKYDRIVE(SkyDrive式SD―05型)
【DX支援分野】▽NEC「BluStellar」:先進的な知見と最先端テクノロジーにより、ビジネスモデルを変革し、社会課題と顧客の経営課題を解決に導くNECのDX事業ブランド。SIの豊富な知見・実績をもとに型化されたサービスを安心に最速で提供する。生成AIや顔認証など独自技術を含む点が高く評価された。
【DXソリューション分野】▽三菱商事/KDDI/ローソン「未来のコンビニ『Real×Tech Convenience』などにおける協業」:通信とデジタル技術を基盤に、スマホレジやAIサイネージ、リモート接客など生活に根ざした技術の社会実装に取り組んでおり、ブランド力や事業基盤、Ponta経済圏を活かした拡張性と社会的インパクトが高く評価された。
【スマートデバイス】▽小米技術日本(シャオミ・ジャパン)「コストパフォーマンスの高いスマートフォンなどの製品群」:「ハードウエアの利益率を永久に5%以下に抑える」としているシャオミは2019年に日本のスマートフォン市場に参入し、2024年以降、家電製品や日用品のラインアップも拡充するなど、コストパフォフォーマンスに優れた多様な製品を展開している点が高く評価された。
【次世代ロボット分野】▽ソラリス「ミミズ型管内走行ロボット『Sooha』」:最優秀賞に選定されたソラリスの「ミミズ型管内走行ロボット『Sooha』」 は世界初の空気圧人工筋肉を利用したロボットで、ミミズのように伸縮動作を繰り返しながら前進することができる。配管内での点検・清掃作業が可能で、細管内など人や他のロボットが入れず維持管理が難しい場所のインフラ整備での活躍の可能性が高く評価された。
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ICT 産業に大きなインパクトを与えた技術・サービスを表彰する話題賞には、グーグル合同会社 「リサーチや執筆のためのAIアシスタントツール『NotebookLM』」が選ばれた。複雑な情報を整理し、新たな洞察を生むAIノートツールで、学生の研究論文作成やビジネスパーソンの市場分析、クリエーターのアイデア発想に加え、教育現場などにも応用できる有用性が高く評価された。
同表彰の担当者は「AIをはじめICT分野を象徴し、今後の社会インフラになり得るサービスが数多く出た傾向にあった」と話していた。
この記事を書いた記者
- 主に行政と情報、通信関連の記事を担当しています。B級ホラーマニア。甘い物と辛い物が好き。あと酸っぱい物と塩辛い物も好きです。たまに苦い物も好みます。
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