パナソニック 2025年3月期は減収減益に/1万人規模の人員削減を実施

 パナソニック ホールディングスは、2025年3月期の連結決算を発表した。
 売上高は前年比0.5%減の8兆4581億8500万円、営業利益は同18.2%増の4264億9000万円、当期純利益は同17.5%減の3662億500万円となった。
 売上高は、くらし事業・コネクト・インダストリーの販売増に加え、為替換算の影響による増加はあったが、オートモーティブにおけるパナソニック オートモーティブシステムズ(PAS)の非連結化による影響により僅かに減収となった。営業利益は、インフレによる固定費増加や戦略投資の増加、PASの非連結化影響や株式譲渡に関連する費用計上などがあったが、増販益や合理化の進捗などにより、増益となった。また、親会社の所有者に帰属する当期純利益は、パナソニック液晶ディスプレイの解散(特別清算)および同社に対する債権放棄を決議したことに伴う法人所得税費用の減少があった反動により、減益となった。
 セグメント別では、くらし事業の売上高は、前年度比で4%増加し、3兆5842億円となった。日本・アジアを中心としたルームエアコンや家電の販売増加、国内電設資材の価格改定効果などにより、増収となった。同セグメントの営業利益は1279億円となった、欧州A2Wの減販影響はあったが、ルームエアコン、国内の価格改定効果を含む電設資材などの増販効果に加え、合理化などの事業体質改善が進んだことなどにより、前年度から82億円の増益となった。
 オートモーティブの売上高は、8050億円、営業利益は、301億円となっ。2024年12月2日にPASの株式譲渡が完了し非連結化したことに伴い、当年度は約8か月分の実績となったことから、減収減益となっている。
コネクトの売上高は、前年度比で11%増加し、1兆3332億円となった。メディアエンターテインメント事業は減収となったが、アビオニクス事業、ロセスオートメーション事業、現場ソリューション事業、ブルーヨンダー事業などが堅当セグメントの営業利益は、772億円となった。プロセスオートメーション事業、アビニクス事業、現場ソリューション事業、ブルーヨンダー事業などの増販益に加え、商品力強化などによるモバイルソリューション事業の収益性向上もあり増益となった。
 インダストリーの売上高は、前年度比で4%増加し、1兆836億円となった。欧州を中心とした市況低迷の影響を受け、車載・産業用リレー等が減収となったが、生成AIサーバー向け等の情報通信関連製品(コンデンサー、多層基板材料等)の販売増加に加え、為替換算の影響もあり、全体では増収となった。当セグメントの営業利益は、432億円となった。生成AIサーバー向け製品などの増販益に加え、価格改定や合理化施策の推進などにより増益となった。
 エナジーの売上高は、前年度比で5%減少し、8732億円となった。産業・民生向けでは、データセンター向け蓄電システムの販売が大きく伸長した。一方で、車載電池は、電気自動車の市場の伸びが減速する中、北米工場の販売数量は拡大したが、国内工場の需要減や原材料価格低下に伴う価格改定の影響が大きく減収となった。セグメントの営業利益は、1202億円となりました。車載事業では、北米ネバダ工場の生産性向上等による販売数量の増加や、新たに過去分も含めた電極活物質製造コストに対する米国IRA(インフレ抑制法)に係る補助金収入の計上がありましたが、北米カンザス工場や和歌山工場の立ち上げ費用が増加し、減益となった。一方、産業・民生事業では、データセンター向け蓄電システムの増販益に加え、原材料価格の低下や材料合理化などにより増益となり、セグメント全体でも前年度から314億円の増益となった。
 2026年3月期の連結業績は売上高が前年比7.8%減の7兆8000億円、営業利益が同13.2%減の3700億円、当期純利益が同15.3%減の3100億円を見込んでいる。
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 2025年度は、人員の適正化、拠点統廃合、間接機能集約・効率化等を図るため、構造改革費用1300億円を計上する。構造改革費用内訳と構造改革効果は、くらし事業(620億円/130億円)、コネクト(20億円/ 10億円)、インダストリー(160億円/60億円)、エナジー(0/0)、その他(500億円/150億円)。構造改革効果は350億円を見込む、。
これに伴い、グループ全体で10000人規模の人員削減を行う。対象は連結対象会社で国内5000人規模、海外5000人規模を想定している。
 人員削減について、楠見雄規社長執行役は「経営者として忸怩たる思いだ。しかし、10年先、20年先を考えた場合、持続的に成長し続けるためには、ここで改革を行うしかない。
2025年は経営改革に集中する年となる」と述べた。

この記事を書いた記者

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成澤誠
放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。