スマホ普及率91・8%で「テレビ離れ」鮮明に 総務省が令和7年通信利用動向調査を公表
総務省はこのほど、国内の通信サービス利用状況や情報通信機器の保有状況を調査した「令和7年通信利用動向調査」の結果を公表した。同調査は統計法に基づく一般統計調査として平成2年から毎年実施されており、今回の調査(令和7年8月末時点)では、世帯および企業におけるデジタル化の進展と、利用者の意識変化が浮き彫りとなった。
調査結果の中で最も象徴的な変化は、世帯における情報通信機器の保有状況。スマートフォンの世帯保有率は91・8%に達し、引き続き9割を超える高い水準を維持している。一方で、長年家庭の主役であったテレビの保有割合は、令和2年(95・8%)をピークに減少傾向が続いており、今回の調査でついにスマートフォンを下回る結果となった。また、固定電話(53・6%)やパソコン(64・4%)の保有率も長期的に減少または横ばいの傾向にある。
個人レベルでの利用状況を見ても、13歳から69歳までの各年齢階層でインターネット利用率は9割を超えている。特に20歳から59歳では約9割がスマートフォンを利用しており、モバイル端末が生活に不可欠なインフラとなっている実態が改めて示された。
インターネットの利用目的(複数回答)では、「SNS(無料通話機能を含む)の利用」が82・3%と最も高く、次いで「電子メールの送受信」(78・2%)、「検索サービスの利用」(77・5%)、「動画投稿・共有サイトの利用」(63・6%)となった。
年齢階層別にみると、利用傾向に顕著な差が出ていおり、6~12歳では「動画投稿・共有サイトの利用」が81・3%と最多。次いで検索サービス、オンラインゲームとなっている。
13~49歳では、「SNSの利用」が最も高く、特に13~29歳では9割を超えている。50歳以上は「電子メールの送受信」が1位だったが、SNSの利用率も急速に普及しており、80歳以上でも54・3%がSNSを利用していることが分かった。
SNSを利用する主な目的としては、「従来からの知人とのコミュニケーションのため」が87・7%と圧倒的で、既存の人間関係を維持するためのツールとしての側面が強まっている。
企業調査(常用雇用者100人以上の企業が対象)では、働き方とIT投資の変化が見られた。テレワークを導入している企業の割合は50・1%となり、前年から増加した。
導入目的には変化が見られ、これまでの「新型コロナウイルス感染症への対応」が減少する一方で、「勤務者のワークライフバランスの向上」、「障害者・高齢者・育児・介護中の社員への対応」、「人材の雇用確保・流出の防止」といった項目で前年からの伸びが大きくなっている。テレワークが単なる非常時の対策から、優秀な人材を引き付け、定着させるための「戦略的な福利厚生・インフラ」へと性質を変えていることが伺える。
また、クラウドサービスを利用している企業の割合は83・5%に達し、増加傾向が続いている。特に「全社的に利用している」企業は60・0%にまで増加した。利用理由としては「場所、機器を選ばずに利用できるから」(50・7%)が最多だが、前年からの伸び率では「システムの拡張性が高いから(スケーラビリティ)」が最大(6・8ポイント増)となっており、ビジネスの状況に合わせて柔軟にITリソースを調整したいという企業のニーズが反映されている。
デジタル化が深まる一方で、利用者の不安も顕在化している。インターネット利用者の74・2%が利用時に何らかの不安を感じていると回答した。
特に注目すべきは、6~12歳の子ども層で「不安を感じている」と答えた割合が、前年から6・8ポイント増加(52・0%)している点。不安の内容としては、全世代共通で「個人情報やインターネット利用履歴の漏えい」が最多となっている。その他、「コンピュータウイルスへの感染」や「架空請求・詐欺」が上位を占めている。
「令和7年通信利用動向調査」は、スマートフォンが名実ともに家庭の最優先デバイスとなり、SNSが全世代的なコミュニケーションインフラとなったことを示した。また、企業においては、人材確保を目的としたテレワークの定着やクラウド活用の高度化が進んでいる一方で、低年齢層を含む利用者の不安感の高まりは、利便性の向上と並行して、より実効性の高いセキュリティ対策とリテラシー教育が急務であることを示唆している。
調査は令和7年8月末に調査票を郵送により配布し、郵送又はオンライン(電子調査票)により回収する方法で実施。世帯調査は全国の20歳以上(令和7年4月1日現在)の世帯主がいる世帯及びその6歳以上の構成員4万592世帯(有効送付数3万9408世帯)を対象に実施し、有効回収率は45・5%だった。企業調査は全国の公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業6040企業(有効送付数4500企業)を対象に実施し、有効回収率は55・3%だった。
調査結果の詳細は、「情報通信統計データベース」及び「e―Stat」に掲載するとともに、掲載データは、機械判読に適したデータ形式(CSV形式)により公開する予定。
(URL: https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05.html)
この記事を書いた記者
- 主に行政と情報、通信関連の記事を担当しています。B級ホラーマニア。甘い物と辛い物が好き。あと酸っぱい物と塩辛い物も好きです。たまに苦い物も好みます。